【CS】雨が降り出した

✵《過去》 ページ6

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《過去》
テレビで見たアイドルはとてもキラキラしていた。
小さかった彼女にとって好きになるのは本当に一瞬だった。いつか私もこの人の様になりたい、そう思った。
元々小さい頃は気が弱くも明るめの性格の子で、好奇心も旺盛でやりたいと思った事は人一倍頑張る子だった。それを知っていた両親は応援してくれてダンスの教室にも、歌の教室にも通わせてくれた。
この人の様になりたいと願ったから中途半端に投げ出したりはしなかった。

父の転勤が決まって引っ越した先の東京でも両親は習い事をさせてくれていた。
転校した先で入学した小学校で同じクラスになった子で家も近所だったこともあって仲良くなるのに時間はそうかからなかった子がいた。”桐谷遥”だった。
それからはずっと一緒だったりしたこともあった。
けれど母親がみつけてくれた子役オーディションに受け合格した事がきっかけで一緒にいるという事は少なくなっていた。

最初の頃は、忙しかった仕事も数年経って成長していくにつれてどんどん落ち着いて行った。
その頃には遥も芸能界に入っておりますますお互い話したりすることが減ってしまった。
中学生になりこころは遥とは別のグループとしてそこそこの人気がありながら活動していた。遥は遥で国民的人気なアイドルとして活動していた。ここからが糸がほつれるきっかけとなってしまっていたのかもしれなかった。
お互い何度も番組には出ていたが、ある日同じ番組で初めて共演することとなったのだ。
その頃には小さい頃のような性格ではなくかなり大人しくなっていた。
その番組で初めて幼なじみだったのだとカミングアウトをした。
遥が国民的人気だったのもありがとう瞬く間に世間に広まった。＿＿＿広まってしまった。

これがほつれた糸が切れてしまう出来事の原因だった。
当たり前にもこころの所属していたグループにも広まっており、色々と問い詰められるよう形での質問攻めをされてしまった。受け流しつつ答えていたのだがその対応に不味い部分があったからなのかグループの仲間の気に触れてしまったのか。
そこからこころに対するありもしないいやがらせをしたという内容が事務所内にて流れる様になってしまっていた。
物を隠された、衣装を鋏で切り裂かれていた。等の今ののこころには絶対やらないであろう事を事務所内で流されていたのだ。事務所の社長やマネージャーに意味もなく怒られるのが多くなってしまった。

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