2話 ページ2
約2年前の人間にとっては少し肌寒い日だったよ。いつも通り森を散策していた時だった。泣いている子供とその子供を慰める女がいたが、慰める女の方は気配が鬼だった
「ねぇ、君たち何してるの?」
「っ!!貴方は?」
子供を庇うように前へ出た鬼は僕を威嚇する。同種だけど僕が十二鬼月だって知らなかったのだろう。目を見せると目を見開いて驚いていた
「っ、貴方が十二鬼月であろうとも、妹は食べさせませんよ」
「別に食べるなんて言ってない。...鬼なのに人間の妹を守るの?」
「ええ、そうよ。たった1人の私の家族だもの。でもこの子は不治の病でもうすぐ死ぬ。だからあのバカ親どもに捨てられたの。殺して食べてやったわ」
親を心底嫌う目をし、言葉を吐き捨てる。苦しそうに息をしながら姉の着物の裾を握りしめる妹はもう話せないのだろう。言葉を発しようとする度に咳き込んで声を出せていない
「花...大丈夫じゃないわよね。辛いわよね。お姉ちゃんがついてるから。ずっと一緒にいるからね」
妹の背中を撫でながら何度も何度も励ましの言葉を送る彼女。ああ、僕も欲しい。彼女みたいな、下の兄弟を助ける姉が
「僕の家に来るといい。寝床を貸してあげるよ。その方が妹も幸せだろう?」
「っ、貴方も鬼なのに、なぜ...?」
まだ答える訳にもいかないため、僕は彼女に微笑み、歩き始める。彼女は立てない妹をおんぶして僕の後ろをついてくる。歩いている間も優しい声で頑張れ、と伝えている姿を見て益々欲しくなった。目を瞑っている妹はもう長くはない。僕の家まで持てばいいほうだろう
「さあ、着いたよ」
844人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アオイ - 最後めっちゃギャン泣きした(´;ω;`)この作品良き (2021年12月4日 21時) (レス) @page21 id: c4dfd681b0 (このIDを非表示/違反報告)
黛パフェ(プロフ) - 白露さん» ほんとですか!?こちらこそありがとうございました!新作も頑張りますー! (2019年12月31日 22時) (レス) id: d3f83fb575 (このIDを非表示/違反報告)
黛パフェ(プロフ) - y126yさん» 完結しましたー!待って下さりありがとうごございました! (2019年12月31日 22時) (レス) id: d3f83fb575 (このIDを非表示/違反報告)
黛パフェ(プロフ) - ゆさん» やっと完結しました!続き待たせてしまって申し訳ありません(泣) (2019年12月31日 22時) (レス) id: d3f83fb575 (このIDを非表示/違反報告)
白露 - ラストに泣きました(感動して)。凄い作品をありがとうございました。新作楽しみにしてます、頑張って下さい。 (2019年12月31日 20時) (レス) id: 4f1f916ec6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:パフェ | 作者ホームページ:
作成日時:2019年8月29日 23時