自称兄に攫われた【文豪ストレイドッグス】【中原中也】

後悔 ページ26

「中也さっ…」




部屋を見ると誰もいない。

きっと出かけたのだろう。



「いない、か…」



私も出かけてくると言おうとしたのだが、いないのなら仕方ない。









外はもう涼しくて、話す人がいないと余計に寒さを感じた。







「っ…？！」







誰もいないはずの道に気配。
妙な視線を感じた。


あの時と一緒だ。









気配のした方を見ると誰かいた。顔はよく見えないが、男だろう。








「な、何か…？」








やっとの事で声を出す。震えてしまっていた。








「テメェか。幹部補佐ならあいつも来るしかねーだろ…」






そう言いながらクツクツと笑う目の前の男。
嫌な予感しかしなかった。だからといって足は動かない。







「ぃ、いや…！」








「逃すかよッ」そう言われてたのと同時に頭に鋭い衝撃が走り、視界がぐらつく。









中也さんの攫い方はもっと優しかったのに、そんな事を考えながらも目の前はどんどん暗くなっていった。







最悪だ、また迷惑をかけてしまう。

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