未来 ページ25
仕事も終わり、中也さんと家に帰った。
「ねぇ、中也さん」
「なんだよ?」
「私、今日、中也さんに似てるって言われました」
特に顔を合わせることもなく、荷物をソファに下ろしながらそう呟いた。
その言葉にそれ以上の意味はなく、ただ、それを伝えたかった。何を急に言い出したかと思えば私自身もよくわからない。
後ろで中也さんが振り返り、私を見たことが気配でわかった。
それでも私はそっちを見ることができずに、特に取り出すものなんてないバッグの中を漁る。
「…そうか」
「はい」
少しの沈黙。
それ以上話すことがなかった。
一葉さんと友達になったこと、
仕事を褒められたのが嬉しかったこと、
中也さんの足を引っ張ってないか心配なこと、
どれも今話したいことでないことだけは明確で、今言いたかったことは
「お兄ちゃん」
それだけだ。
だったそれだけ、されどそんなに。
その言葉が口から出ない。
きっとまた、言える機会があるだろうと口を紡いだ。
仕方ない。慣れていない単語なんだ。
生まれて、親の記憶もなければ兄の記憶もないんだ。
寧ろここまでいろいろなことを受け入れられている私は結構すごい方だと思う。
重い空気と気持ちを払うために言葉を出す。
「中也さん、今日の夜ご飯何にしましょうか!」
「酒に合うもんなら何でもいいぜ。俺も手伝うわ」
まぁ、“これから”があるのだから今、焦らなくてもいいだろう。
ーーーーーーーー
魅月 桜花です。
話の途中で「作者から」を挟むのも無粋であると思いましたので、ここでご報告させていただきます。
少し前に総合過去最高で14位、関連ランキングでも過去最高で1位を頂きました。本当にありがとうございます。
出来るだけ1日1話は更新を目指していきますね。
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是非これからもよろしくお願いいたします!
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羅生門 - 小っちゃいのに兄貴。 (2021年3月19日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
羅生門 - 未だチョッと普通の子なら様子見だが、.私は莫迦なので何でも語れる(。駄目だろうアンタ、死にたいのか!?) (2021年3月19日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
魅月 桜花(プロフ) - 長月冬麻さん» 少ないものが書けているなら良かったです。私も文章力がなく…相手の方がサポートしてくださっています。お互い頑張りましょうね!コメント、とても嬉しかったです。ありがとうございます! (2018年8月2日 9時) (レス) id: bb7045b574 (このIDを非表示/違反報告)
長月冬麻(プロフ) - 中也さんと恋人でイチャイチャしてるのは良くありますけど、兄弟でっていう設定のものはあまりないですよねぇ…。あと私も也してますが、ロル書くのが難しくて、どうやら私は文章力ないみたいです。(・ω・)ノ (2018年8月2日 9時) (レス) id: 0ab6a974b3 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - はい来ちゃいました!!更新されてたやったあ…! (2018年7月8日 6時) (レス) id: 4a699948aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:魅月 桜花 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/c1f02e14681/
作成日時:2018年5月13日 19時