【SERVAMP】一帯誰が←シリーズ・アンコール【アンソロジー】 (ページ6)

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ちょこれーと　ページ6

「おい。風呂の栓抜いといたぞ」
クロが頭にタオルを被りながらAに向かって言う。
「あー、ありがとー。ついでに洗濯物もやっといてくれない？」
「それは嫌だ」
「デスよね！」
今日の分の洗濯を押し付けようとしたが、やはり駄目だった。
ピイィーーーッ
「ぅおっと！あっぶね」
戸棚を漁っていたらお湯が沸いてしまい、コンロの火を切る。
ふぃー、ヤカンが吹き飛ぶとこだったよ、なんて言いながらお湯をボウルに移していると、いつの間にか私の後ろまで来ていたクロが声をかけてきた。
「さっきから何やってんだ？」
「んー？湯煎の準備だよ」
「湯煎？」
「そっ、チョコを今から溶かすから」
それを聞いてクロはますます、？という顔をした。
「は…チョコ？何で今から、わざわざそんなめんどくせー事すんだよ」
「いやだって、明日バレンタイン・デーだし」
「あぁ…それでか」
ようやくな納得したようだ。
そう！バレンタイン・デー。
今年はトリュフを作ろうと思い、その準備をしていたのだ。
「女子力永遠の0(ゼロ)のお前が、まかさそーゆーのに興味があるとは……
今世紀最大の驚きだな」
「ＨＡＨＡＨＡ！
チョコと一緒に切り刻んであげようかぁ？」
「遠慮させていただきます。」
「あのねー、これは女子力云々以前に行事として好きなの」
そう言いながら、ボウルの中で溶かしていく。

数10分後

テンパリングやらなんやら色々とやった後、チョコを丸く捏ねていく。
捏ね終わったら仕上げに取りかかる。
ココアパウダーもシンプルで良いけど、抹茶のも綺麗だよな…あっラズベリーか、明るくて良いかもな……などと独り言を言いながら、黙々と作業を進めていく。
そして＿＿＿
「うっし、見栄えはなかなか良いだろう！
あとはー…」
ココアパウダーを被っているトリュフちゃんを１つ摘まみ、リビングで寝転がってゲームをしているクロの所まで歩いていく。
「くーろっ！」
んー……？と、気怠げに返事をしながらゆっくりと此方を振り向く。
そして、振り向いた瞬間にクロの口の中にトリュフちゃんを指ごと突っ込む。
「うりゃーい(笑)」
「に”ゃっ！？」
突然の事に一瞬驚いた顔をしたが、物体の正体がチョコだと分かると、多少戸惑いながらもモグモグと口を動かした。
「どう？」
「あー…別にいんじゃね？」
その答えにホッとして、
「良かったー。これで安心してクラスで配れるよー」
そう言ったら、僅かにクロの顔が曇った気がした。