【SERVAMP】一帯誰が←シリーズ・アンコール【アンソロジー】 (ページ34)

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桜色の君─日比野─ ページ34

切なくなるような春の暖かさ。

ゆるく身体を包む風。

はらほろと舞い散るは、桜の吹雪。

怠惰組、傲慢組、色欲組は、とある休日、花見へとやって来ていた。

が。

｢うっひゃっひゃっひゃっひゃぁ～｣

｢おい･･････誰だよ、Aに酒飲ませたの････｣

面倒臭そうに呆れるクロ。

その隣には、顔を赤くしたAがいた。

｢すみません。いつの間にか、私の盃が、空になっていまして･･･｣

リリイがおずおずと手を挙げる。

｢だからといって、こんなには酔わないだろう、普通！｣と御園。

｢この酒強いのか？｣鉄は日本酒の瓶を持ち上げ、

｢鉄、お主にはちと、早いかもしれんのぅ｣と、ヒューは桜餅を頬張った。

｢なんらよクロぉ～、もっとテンション上げてこーぜ！｣

舌っ足らずなAが、クロにしなだれ掛かる。

｢くっつくんじゃねぇよ、向き合えねー････｣

｢ひゃっひゃっひゃ････なんかぁ、ふあふあして、良い気持ちなんらぁ～｣

とろけた表情のAに、クロはため息をついた。

｢おら、水でも飲んどけ｣

｢やら｣

｢あ？｣

｢私、卵焼きがいい｣

ひっく、と喉を鳴らし、Aは弁当箱に手を伸ばす。

卵焼きを摘まむと、｢クロ、あーん｣と口元に近付けた。

｢なん････んぐ、｣

｢んまい？｣

開いたクロの口に、卵焼きを突っ込み、小首を傾げる。

クロが頷くのを見ると、｢やっぱりなぁ～｣と笑った。

｢私が作ったんらもんなぁ、んまいよなぁ～。あっひゃっひゃっひゃっひゃ！｣

そのままひっくり返り、腹を抱えて爆笑しだす。

｢おやおや･･･｣とリリイ。

｢マジ向き合えねぇ･････｣クロは疲労感を漂わせていた。

｢あ、おい、A姉｣

鉄が声を上げたのは、その時だった。

｢どうした千駄ヶや････あーーッ！！｣

振り返った御園も、叫び声を上げる。

そこには、日本酒の瓶を抱え、ラッパ飲みするAの姿があった。