【SERVAMP】一帯誰が←シリーズ・アンコール【アンソロジー】 (ページ25)

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吸血鬼だらけのファミレスバイト!?その４ページ25

「…………」

「……はぁ」

「ちょ、お前、何で今溜め息したの!!?いいよ、女子力永遠の0の私がこんなメイド服着てても、全っ然可愛くないって言いたいんだろ!?」←

「…お前、ついに女子力が無いってこと自虐ネタに回し始めたな」

「き…気にしたら負けだっ!!」←

「気にするわ、馬鹿」

「…で、今日椿はいないのか」

「話の脱線ハンパねぇな…。…いねぇよ、今日はな」

狐のぬいぐるみで、自分の救世主に対するストレスを発散しているなんて、口が裂けても言えるはずもなく。そして、ストレスが溜まりに溜まり、今日の夕飯はその彼と別行動をしているなんてことは、死んでも言えないと思う少年であった。

「へー。そうなんだー。珍しいな」

「…たまにはそういう事もあるだろ」

「…ま、アイツと一緒にいると、ストレスの溜まるスピードがボルト並に速そうだよな」←

…エスパーかよ、コイツ。…と思う少年は、聞かなかったふりをしつつメニューを開く。

「注文、していいか」

「ん、いいぞ。…もしかして、夕飯?」

「そうだけど…」

「りょっかいー」

そう返事を返せば、注文も聞かずに彼に背を向け歩き出す少女。少年は驚きと焦りが混じった声で、声を掛けた。

「お、おい!俺、まだなんも言ってｎ…」

「アンタが何も言わなくったって分かるって!」

「…?」

彼女は例えるのならそう…太陽のような…光のような笑顔で、返事を返す。

「どーせ、お好み焼き頼むんだろ?今までどれだけ一緒にいたと思ってるんだよ」

「…!!」

少年は唐突にドクンと高鳴った胸を押さえ込む。しかし少女は、彼の顔が何故か真っ赤に染まったことも知らぬまま、鼻歌を歌いながら再び足を進め始めた。

だから彼女は知らない。少年が、呟いた言葉を。…全くもって、知らないのだ。

「敵に笑顔見せるって…どうかしてるよな、アイツ…。ったくよ……」

「どんだけあのネックレス気に入ってんだってんだ……」

彼女の首元にキラリと輝く、彼からの贈り物であるネックレスは、そんな二人のことも知らずに夜の町中に光る電灯のように、鋭く、端麗に光り輝いたままだった。

「ん?クロ先輩どうしたんだよ」

「…何でもねーよ……」

「??」

…ここには少女の鈍い、鈍感な心が一つ。