鶤 ページ9
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「はあ…、中々疲れたな」
ビルの屋上で一つ、ため息をつくA。それにしても本当に痛い自分の四天王ができてしまった。何なんだ、あれは。
さっさと終わらせるか、と呟きビルの屋上から飛び降りる。当然のように、もの凄い早さで落ちているのだが、
その窓際にいた青年と、目が合った
「ご、強欲の主人…っ!」
よりにもよって嫌な相手と目が会った。めんどくさすぎる…!ここはどうやら強欲の連中が止まっていたホテルだったらしい。急いで地面に着地をし、すぐさま対策を考える。
きっとあのメルヘン思考の天使ちゃんならばサンタの存在も信じ、あのバイオレンスな性格ならばきっと追いかけて来るだろう。
「クソッ…こんなことに時間は使いたくねえのに…!」
仕方ない、と言った具合で指ならしをした。金色の瞳に浮かんでいる時計盤の針が一斉に回りだし、Aの影からもう一人の_
サンタのコスチュームを着たばかりの頃の時間のAが出てきたのだ。
「後は頼んだぞ、オレ」
そう言うと、Aは真昼の家に一直線に駆け出した。
案の定、リヒトはロウレスと共にサンタのAを追いかけに来ていて、思いの外足が速くて疲れた、と語っている。
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「ここ、だったかな…」
真昼の家の屋根の上でそう呟くA。やっとの思いで着いたのだ。窓から中の様子を覗いて見ると、真昼はすでに眠っていた。
きっと皆にプレゼントを渡して回って疲れたのだろう、本当にお疲れのようだ。
周りに人がいないことを確認して、窓を開けて侵入。そして、そっと真昼の枕元にプレゼントを置いた。ミッション、コンプリートである
「疲れた…。まったく…、寒いし本当にめんどうだったな…」
そう伸びをしながら呟く。すると、一つの声がAの名前を呼んだ。かすれた声で、静かに。
「…A…?」
「ま、まひっ……真昼…!」
一瞬驚いたが、どうやらすぐに寝てしまったらしい。すでに寝息を立てていた。ほっ、とした表情を浮かべる。
「メリークリスマス、真昼」
今宵のクリスマスは、ドタバタとした最悪の吸血鬼が裏で活躍していた
そして、そのプレゼントが
金色の懐中時計だったとAは知らない
その金色の懐中時計は、また1秒ごとに秒針を刻んでいった。まるでAの左目のように
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美烙 - からくりピエロですかね?結構好きです (2016年9月10日 18時) (レス) id: 6844de10d5 (このIDを非表示/違反報告)
志吾(プロフ) - 刹那さん» いえいえ!楽しかった! (2015年2月27日 17時) (レス) id: f062d4abc7 (このIDを非表示/違反報告)
刹那 - 吊儀ちゃんの実現ありがとうございました! (2015年2月26日 17時) (レス) id: 5a66833b89 (このIDを非表示/違反報告)
志吾(プロフ) - 琥珀ルイさん» そう、からくりピエロです!でもパロディではないかなぁ?丁度聞いててさ (2015年2月24日 18時) (レス) id: f062d4abc7 (このIDを非表示/違反報告)
志吾(プロフ) - 津咲さん» 知ってます!超好きだよ! (2015年2月24日 18時) (レス) id: f062d4abc7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:志吾 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/c1ec8b99301/
作成日時:2014年12月10日 22時