鵺 ページ12
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「今日の先約は私だった。真昼とのデート権は私にある。あなたにはさっさとこの場を去ってもらう、綿貫桜哉」
「うるせえ、変人人形女。真昼に何かするんだったら殺すぞ」
む、と特に表情は変えはしないが明らかに不機嫌な顔をするA。真昼は何度かこの二人のけんかを見たことがあるので二人に両腕を捕まれてほぼ諦め状態である。
「この私が、真昼に危害を加えるわけがない」
バッ、と手を胸の前に持っていて『無実だ』と訴えるようなポーズになるA。その反動でバッグにパンパンに入っていた荷物が床に落ちた。
『手錠』『ムチ』
「__いや、絶対するだろお前!」
「何のことだかわからない」
「え、え、鳶一!?俺何されるんだよ!?」
「___真昼が、夜そういうプレイをしたがるかもしれない」
「「しねえよ!!」」
(てか鳶一、夜まで一緒にするつもりだったのかよ…!?)
何事もなかったかのように手錠とムチをバッグの中に詰め込むA。本当にAの変人振りは並みじゃない。
真昼は呆れ顔でため息をついた。
「全く呆れるほどの変人振りだな…」
「あなただけには言われたくない」
「いや、桜哉も鳶一にだけは言われたくないと思うぞ」
するとAは無表情なまま真昼をじぃ、と見つめた。その視線にビクッと身体を震わせる真昼。Aはどちらかと言えば、見つめる…というより、睨むに近かった。
そしてそのまま真昼に腕を伸ばし、ぎゅうっと真昼を抱き締めた。
「な…っ!!」
「鳶一……!?」
「真昼、まずは一つ。何よりも彼女である私を優先してほしい。二つ、私のことを名前で呼んでほしい」
「おい、変人人形女!真昼から離れろ!!」
だがそんな言葉は真昼には聞こえずただ、その状況に真っ赤になって狼狽えるだけだった。Aの大きく綺麗な瞳がまっすぐ真昼を捉える。
「…え、えっと……A…?」
「そう、それでいい」
「いい加減にしろ!」
ラブラブムードだったAと真昼を桜哉がビリっと引き離す。そんな桜哉をムッ、と睨み付けるA。
「綿貫桜哉、どれだけ私達の恋路を邪魔するの、いい加減迷惑」
「絶対お前みてえな危険な女に真昼はやんねえよ、変人人形女」
真昼と、Aと、桜哉。奇妙な三角関係ができてしまった
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美烙 - からくりピエロですかね?結構好きです (2016年9月10日 18時) (レス) id: 6844de10d5 (このIDを非表示/違反報告)
志吾(プロフ) - 刹那さん» いえいえ!楽しかった! (2015年2月27日 17時) (レス) id: f062d4abc7 (このIDを非表示/違反報告)
刹那 - 吊儀ちゃんの実現ありがとうございました! (2015年2月26日 17時) (レス) id: 5a66833b89 (このIDを非表示/違反報告)
志吾(プロフ) - 琥珀ルイさん» そう、からくりピエロです!でもパロディではないかなぁ?丁度聞いててさ (2015年2月24日 18時) (レス) id: f062d4abc7 (このIDを非表示/違反報告)
志吾(プロフ) - 津咲さん» 知ってます!超好きだよ! (2015年2月24日 18時) (レス) id: f062d4abc7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:志吾 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/c1ec8b99301/
作成日時:2014年12月10日 22時