31日目 ページ49
なんできた、と言いたそうな顔をするコナン君。
来るよ、当たり前じゃん。
息を整え改めて向き直るとコナン君の目の前には大きな穴が。
あぁ、これで帰れるんだ。直感でそうおもった。
「……帰るの？」
愚問だ。帰るからその場に足を止めているんだ。
それを私が…止めてしまった。
コナン君は何とも言えない顔をして私から視線をそらす。
「何、いってんの？」弱弱しい声で呟くコナン君にえ？と聞き返す。
「ここは俺の家でもあんだろ！？どこに帰るっていうんだよ……！！」と荒々しく声を必死にあげている。
「コナン君……？なにいって…」思わぬ言葉に思わず聞き返してしまった。
だって、そんな言い方、まるで帰らないって言ってるみたいじゃん。
「俺は……ここに残る」
そういうコナン君の顔は俯いていてよく見えないけれど、ただ一つだけわかるのは、
「ありがとう」
コナン君はようやく顔をあげる。その表情は戸惑い。
「私の為に言ってくれてるんだよね。
……でも、残らなくていいよ」
今できる、最大限の笑顔をコナン君に向ける。うまく笑えてるかな、私。
「な、んで……」かすれた声で悲しそうに顔をゆがめるコナン君。
私、そんな顔見たくないよ。
人の幸せが自分の幸せ、なんてかっこいいことは言えないけれど。
少なくとも好きな人には笑っていてほしい、幸せになってほしい。
だから、だから、
「行って……」
「コナン君が来てくれて、本当に楽しかった」
沢山、色々なことがあって、色々な感情が生まれて、こんなにも私は満たされていた。
限りある日々のなかで、コナン君に会えただけで、幸せだったって私は胸を張って言えるよ。
『ありがとう』も、『ごめんね』も『おはよう』も『おやすみ』も全部、君が隣にいてくれたから言えたこと。
出会いがあるなら別れもある。
コナン君がいなくなっても、この世界は変わりなく回り続け、私はいつもと同じ日常に戻るだろう。
それでも、私はコナン君がいたことを忘れはしない。
思い出して、涙を流すかもしれない。けれど、これは悲しい別れじゃない。
それぞれの世界に、道に進むために『さようなら』をするんだ。
一生に一度。こんなにも大切な人に出会えた私は、最高に幸せな人だよ。
心から好きだって思った。
心から帰ってほしくないって思った。
心から幸せになってほしいと願った。
心からありがとうって思った。
願わくば、このままずっとこの思いが変わらぬことを。
『またね』という言葉にのせて。
『−−−−−ー」
「……っ」
想いと一緒に、涙あふれた。
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ニッチ(プロフ) - 初めまして！とても面白かったです！キュンとして切ない感じが良いです！番外編とか見てみたいなって、ちょっと思いました！ (2018年7月6日 4時) (
レス) id: 82d03a44e1 (このIDを非表示/違反報告)
ミカミカ(プロフ) - * 森さん@tear *さん» ありがとうございます！楽しく読んでもらえて嬉しいです(*^^*)了解しました！ (2018年1月9日 20時) (レス) id: 53b155e8d7 (このIDを非表示/違反報告)
ミカミカ(プロフ) - 月影愛梨さん» 了解しました！ (2018年1月9日 20時) (レス) id: 53b155e8d7 (このIDを非表示/違反報告)
* 森さん@tear *(プロフ) - こんばんは！いつも楽しく読ませていただいてます。アンケートですが、1がいいです！ (2018年1月9日 20時) (レス) id: a504df0074 (このIDを非表示/違反報告)
月影愛梨(プロフ) - アンケートですがワンです！ (2018年1月9日 18時) (レス) id: a85507e01d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミカミカ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/mei1127/
作成日時：2017年1月4日 22時
