二ページ目 眼帯の少年 ページ4
面白い偶然もあるもんだ。
まさか強豪帝国学園が弱小雷門に挑んで来るなんて。
だからバスが止まっていたのか。
｢ちょっと、そこの子、挽かれるわよ。｣
そう言われて門の方を見ると、帝国学園の要塞のような厳ついバスが門の前に止まっていた。
辺りは騒然となり、沢山の人が窓から顔を出している。
脇に逸れると門の前に赤い絨毯がひかれ、帝国学園サッカー部のメンバーがバスから降りてきた。
バスの上には、グラサンに黒スーツと言ったその手の人のような格好をした男性が座っている。
暑くないのかなあれ。
帝国学園の中のマントを着けゴーグルを着けた突っ込み所満載の少年が、一歩前に出てくる。
どうやら彼はキャプテンらしい。
そしてそれに応じる様に、うちのサッカー部のキャプテンが突っ込み所の多い少年の前に立った。
｢俺は雷門サッカー部キャプテン、円堂守です。練習試合の申し込み、ありがとうございます。｣
そう言いながら円堂は握手をしようと手を伸ばすが、帝国キャプテンは握手をしようとはしなかった。
｢初めてのグラウンドなんでね、ウォーミングアップしても良いか。｣
おいおい、初っぱなからそんな態度かよ。
少なくとも私はこんな人にキャプテンになってほしくは無い。
そんなことを考えている間に、帝国学園サッカー部のウォーミングアップは始まっていた。
眼帯の少年が消えたと思ったら、自ら蹴りあげたボールを足で受け止め、小柄な少年に渡す。
その小柄な少年がボールを赤茶の髪の少年に渡し、嫌みそうな顔の少年からキャプテンにボールが渡ると、キャプテンはゴールにボールを放った。
円堂はかろうじてボールを受け止めるが、恐らくあのボールは弱めのボールだ。
対抗手段が泣ければ間違いなく負けるだろう。
少しの休憩時間があるらしい。
私も荷物を置いてもう一度見に来てみよう。
下駄箱に靴を置き階段を駆け上がると、廊下を全力で走る。
早く、早く。
早くしないと始まってしまう。
｢ぷぎゅっ｣
｢いてぇっ｣
廊下の角を曲がった瞬間、目の前に火花が散った。
どうやら人とぶつかったらしい。
｢おい、大丈夫か？｣
顔を上げると、さっきの帝国学園の眼帯の少年だった。
｢あ、はい、怪我してませんか。｣
怪我させたら間違いなく私の首が飛ぶ。
それは絶対嫌だ。
｢俺は平気だ。気を付けろよ。｣
そう言って眼帯の少年は走り去った。
結構良い人だったな。
全員が全員あのキャプテン見たいじゃ無いって事か。
あ、始まる。
早く荷物置いてこないと。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 5人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：飴 | 作成日時：2019年8月31日 21時
