六ページ目 勧誘計画 ページ11
マネージャー仕事で校舎の方に居たので詳しい事は分からないが、染岡と円堂が一悶着合ったらしい。
そんなことを考えながら鉄塔広場に行くと、とっくに円堂と秋さんは集合していた。
｢すいません、遅れました。｣
｢いいのよ、Aちゃん。｣
それはそうと用事は何だろう。
何だか面倒な事になりそうだ。
｢豪炎寺を雷門に引き抜く！｣
まぁ何となく予想は出来ていた。
元天才エースストライカー、豪炎寺。
そんなやつがうちにいたら戦力の大幅な増加に繋がるし、廃部の可能性も薄まる。
｢そうですか、つまり今日はその勧誘計画を練ると。｣
｢そうだ！話が早いな。｣
豪炎寺は恐らく前の学校でサッカー部に所属していた。
だが今はサッカー部に所属しているわけではないし、助っ人として試合に出たのも帝国戦だけだ。
その所にただならない出来事があるのはほぼ確実と言っても良いだろう。
｢けど円堂君、こう言う事は部員も巻き込んで作戦を練った方が良いんじゃないの。｣
そこは盲点だった。
出来るなら部員も協力したほうが成功率も上がると思うんだけど。
｢あぁ、やろうとしたんだがそれは少し、いや、染岡が大反対したからな。｣
道理で染岡の回りの空気が険悪になっていたのか。
まあ染岡も豪炎寺も役割的にはストライカー。
豪炎寺に役割を取られるかも知れない立場に暗転することになる。
要するに染岡が豪炎寺アレルギーを発症したって事か。
｢じゃあ、まずは豪炎寺の事を説得したらいいんじゃないか。｣
｢やったんだが全く相手にされなかった。｣
｢回りから抱き込むとか。｣
｢まだ友達居ないみたいだったぞ。｣
あれ、これって詰んでない？
秋さんも頭を抱えている。
プルルルルルル プルルルルル
電話だ。
私でも無いし秋さんでも無い。
｢あ、母ちゃん。｣
円堂か。
｢ふんふん、あ、分かった。直ぐ帰る！｣
｢すまん、二人とも。今日はもう暗いからこんぐらいにしよう。｣
円堂は顔の前で手を合わせて謝っている。
｢｢いや、大丈夫よ/だ。｣｣
｢じゃ、又明日な！｣
円堂はバッグを持って暗い道を走っていった。
｢私達も帰りましょうか。｣
｢はい。さようなら。｣
秋さんと別れ夜道を歩いていると、後ろから誰かが付いてくる気配がする。
気味が悪い、早く帰ろう。
そう思って駆け出そうとした瞬間、私の横を何かが掠めた。
凶器か！
振り返り後ろを向くと、後ろにはいかにもな変質者が倒れていた。
近くにはへこんだサッカーボール。
一体誰が助けてくれたんだろう。
今日の日記
誰かに助けられた。
お礼を言いたいな。
続く
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作者名：飴 | 作成日時：2019年8月31日 21時
