今日のディナーはチョコレート2

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「Aさん。ちょっとそっち行ってもいいすか？」

「だめ」


背中越しに岸優太の声がする。

正直もう可愛いって言ってられないくらい眠い。



「1センチ！」

「だめ」

「1ミリ！1ミリ！」

「……いいよ」

「よっしゃ！」



頼むからわたしを寝かせてくれ。

これ以降は完全スルーでいこうと目を瞑った。



「何してんの」

「Aさんがいいよって言ったんすよ？」

「1ミリじゃないじゃん」

「まあまあいいじゃないっすか！」


すーっと近付いてきた岸優太がわたしの背中にぴったりくっついてる。

文句を言いながらもその温もりが心地良くて、抵抗できない。



「Aさん」

「………」

「好きです」

「………」

「おやすみなさい」



ごろんと寝返りを打って岸優太はわたしに背中を向けた。

そこから1分も経たずに寝息が聞こえてくる。



「……子供か」




こんな子供になにドキドキしてんだわたし。


勝手にくっついてきて

勝手に好きとか言って

勝手に一人で寝ちゃうような


そんな奴になんでわたしが振り回されなきゃいけないんだ！


おかしい。絶対おかしい。


背中に感じる岸優太の存在をなるべく意識しないようにぎゅっと目を瞑って、わたしは眠りに落ちた。



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