今日のディナーはチョコレート2

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「何見るの？」

「これっす！泣けるらしいっす！」

「ふーん」


連れてこられたのは映画館。

客数も多くないしスクリーンの数も少ない。作り物みたいな昭和レトロな雰囲気。


健ちゃんが好きそう。



「なんか岸優太っぽくないね」

「ひどいっすね。俺だって本気出せばこんなもんっすよ」

「ここ、岸優太の本気なんだ」



そう言って笑ったら睨まれて、行きますよって手を繋がれた。

わたしももう慣れてしまったのか特に抵抗もせず、握りもせず。されるがまま。



「ポップコーン何味が好きっすか？」

「塩」

「まじすか！俺キャラメルっすね。じゃんけんしましょう」

「普通譲らない！？」

「いやーそこは譲らないっすよ！金は出すんで！」

「まじでケチ臭い」

「はいいきますよー！さーいしょーはグー！！！」




結果、

わたしが負けてキャラメル。


出てきたキャラメルポップコーンをひとつ食べてみたら案外美味しかった。


じゃんけんで決めるとかちょっとアホっぽくて、でも楽しい気分になった。

健ちゃんはなんでもわたしに合わせてくれる人だったから、こういうの少し憧れてたのかもしれない。




始まった映画は人気のラブストーリー。

先生と生徒の恋の話だった。

今時珍しいバットエンドで、きっと集中して見たら感動するのかもしれないけど隣の岸優太が泣いてるから呆れて全く集中できなかった。



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