今日のディナーはチョコレート2

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「さ、飲むぞ」

「まじすか」

「飲まなきゃやってらんない」



もうすぐ日付けが変わろうとしてる。

いろんなことが起こりすぎて、廉と飲んだお酒の酔いなんてとっくに冷めた。

酔いたいわけではないけれど
今はお酒の力を借りないと眠ることすらできなさそうだ。


冷蔵庫の中にはわたしの好きなお酒がたくさん入ってた。



「さすが健ちゃん」

「レモンあります？」

「ない。買ってくれば」

「さすがに怖くて出れないっすよ」


冷蔵庫から缶ビールを取り出して、
とりあえず二人で横並びにソファに座ってビールを開けた。



「綺麗だったね」

「え？誰がすか？」

「健ちゃんの新しい女」

「ちゃんと見てなかったっす」

「あの人と浮気してたのか……」



ムカつく。

超ムカつくのに、また名前を呼ばれて喜んでる自分がいる。



他の女といるのを目の当たりにしてもまだわたしは彼のことが



「あーーもう！」

「ちょ、一気飲みは危険っすよ？」

「どうしたら忘れられんの…なんで嫌いになれないの…」



言葉にしたら涙が出てきて
それがどうしようもなく悔しくて
一気飲みした缶ビールをぐしゃっと手で潰した。


隣に座る岸優太が、自分が手に持ってたビールとわたしが潰した缶をテーブルの上に置いた。

わたしの方に体を向けて、手をそっと頬に添えると親指で涙を拭う。



「泣かないで」

「…タメ語使うなって言ってんじゃん」






岸優太を睨もうと顔を横に向けた瞬間

頬に添えられた手に力がこもって、唇と唇が重なった。



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