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海から少し離れた公園で、顕嵐はあたしの腕を離した。
「…どうしたの」
「俺、夏海が好きなんだ」
「え?あ、うん、知ってる」
「やっぱり?気付かない奴なんて本人くらいだよな」
顕嵐は視線を地面に移して笑った。
どこか寂しげで、見ているこっちが泣きそうになってしまうような笑み。
「俺達って一方通行なんだよ」
何気なく言ったこの言葉。
夏海が優太のこと好きなのも顕嵐には分かっているんだ。
「あたしは、どっちを応援するとかできない…」
「うん、分かってる。俺は夏海が好きだけどAも優太も大事だから。4人の空気壊すくらいならずっとこのままでいいし」
そんなのだめだよ
って言葉が喉元まで出掛かったけれど止めた。
そんなこと言える権利、あたしにはない。
「ま、俺が夏海を惚れさせればいいだけの話だ」
「そ、そうですね。てかなんで急に?今、夏海と優太二人になっちゃってるよ?」
「Aが助けてって言ってる気がしたから?あれ、違った?」
「ううん…違くは、ない」
周りをよく見ているんだな、と改めて思った。
顕嵐の言う一方通行、とはあたし含めての事なのかもしれない。
何本もの同じ方向を指差す矢印は、
いつどこで、反対を向いてくれるのだろう。
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あーや(プロフ) - このお話本当大好きです!キュンキュンします(*^^*)これからも楽しみにしています!!! (2016年7月31日 21時) (レス) id: 5dc9787a97 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ(プロフ) - 続き楽しみにしてます\(^^)/ (2016年7月25日 15時) (レス) id: 759266591d (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ(プロフ) - 思わず見入ってしまいました!青春って感じでとても好きです!続き楽しみにしてます! (2016年7月18日 2時) (レス) id: 759266591d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mini | 作成日時:2016年7月17日 16時