クイズの申し子は今日も元気いっぱい。

クイズの申し子は疲れているようです。 ページ28

ふくら視点







今日のAちゃんはどこか変だ。
他人行儀な感じがする。
『今日は講義がないんです！』
と朝オフィスに来てくれてから早くも8時間が経過している。
違和感に気づいたのはほんの数十分前だが、もしかしたら朝からだったのかもしれない。






「あれ、今日Aって第二外の授業なかったっけ？」





こんにちは、いや、こんばんはか？なんて言いながら川上が入ってきた。
今日は講義ないらしーよ、と口を開くまえにAちゃんに遮られた。







『本当は講義、あるんです。でもちょっと精神的にきてて、休もうかなぁって。』





作り笑顔であろう貼り付けたような笑みが浮かべていう彼女。
オフィスの空気が一瞬張り詰め、元に戻った。




「そういう時もあるよね。」




一番に声をかけたのは河村。
別に異質なことじゃない。
「今日コンタクトなんですよ」
ぐらいの話に相槌をうつ程度のゆるい返答が返ってきて少しホッとしているような顔を見せた彼女は、どうせ僕たちに迷惑をかけてしまうとでも思っているんだろうな。





『......はい。』





僕の予想は正しかったみたいだ。
正義感が強く、自分の信念をきちんと持っているAちゃん。
理想の自分に少しでも近づこうと、負荷をかけまくったんだろうな。
その証拠に、彼女がギリギリまで講義を詰め込み、さらに空きコマで他の学科の講義にもぐりをしていることを知っている。





ねぇ。
大学生になったからってそんなにキャパシティは増えないんだよ。
もうちょっと気を抜いていい。
大学生なんて遊ぶことしか考えてないようなもんなんだから。





僕の心の中の声はいつになったら届くのでしょうか。

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