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彼女を不安にさせた私の責任なんだ。それなのに、Aならもしかしたら信じてくれるかもなんて自分の都合のいい解釈で言ってしまった。こんなこと突然言われたって信じるわけがないのに。彼女を苦しませたくてこんなこと言ったんじゃない。
俯いたまま、私の元から離れようとするAの腕を掴んだ。引き止めたとて、何を言えばいい?必死で言葉を探る。するとAの体からモヤのような小さな呪いが滲み出たのが目に入って思わず手を離してしまった。
『っ...無理させてごめん、もう...いいから』
そんなこと言わないでくれ。無理なんかしていない。私は君が隣にいないと駄目なのに。私の引き止める声は風に流され、彼女に届くことは無かった。
引き止めて交わされての繰り返し。"Aが私に愛想をつかされた"だの"Aが浮気をした"だのありもしない噂が流れて、もっと話す機会を失ってしまった。
噂を立てる側はこっちの気持ちも事情もお構い無しで、どんなに楽なんだろうか。否定しても消えない噂は1ヶ月も経てば自然に忘れられた。
そして気づけば、私ばかりが彼女を目で追うだけになってしまった。
言わなければよかったのか、呪いのことを。それはそうだ、信じなくて当たり前だ。見えないんだから。周りで私だけなんだから。
結局、卒業の日でさえも別れの言葉なんてものもなかった。
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hocha - 切なすぎて涙が止まらないです…!! こんなに泣ける夢初めて読みましたありがとうございます (2022年3月12日 1時) (レス) @page12 id: d352593a5c (このIDを非表示/違反報告)
RIO - こんなに涙腺緩んだん初めてです、、夏油さんの思いとか余計に泣けてきて…… (2022年2月27日 7時) (レス) @page12 id: 759836d8d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神凪巫琴 | 作成日時:2022年2月25日 16時