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瑞稀「まじかよ」
「あはは…」
ここは昇降口。外は雨。
瑞稀「折りたたみ傘とか持ってきてねえの？」
「ない」
瑞稀「女子力ねえな相変わらず」
「うっるさいな。しかも相変わらずって何よ」
瑞稀「相変わらずだろ、昔から…」
ユキ「A、傘ないの？」
瑞稀が昔話をし始めようとした時、小走ってきたユキがそう言った。
「ないんだよねー、はは」
頭をかいて笑っているとユキはリュックから折りたたみ傘を取り出した。
ユキ「これ使いなよ」
瑞稀「え、嘘まじ、いいの？」
「ちょっと瑞稀！」
何故か私より先に瑞稀がその傘を受け取る。
「ユキの傘なくなるじゃん」
ユキ「私はいいのいいの。彼氏来てるから。校門に来てるから、呼べばここ来ると思う」
「わざわざ…」
ユキ「いや、元々相合傘する予定だったからさ」
「あっあいあいがさ…」
さっきまでたったひとつの傘があるかどうかを話してたけど、そのひとつの傘でどうしようとしてたんだろう。
相合傘なんて、ねえ？
そうしている間にもユキはスマホで彼氏に連絡してる。
ユキ「だって2つの傘で帰るって嫌じゃない？お互いの声聞こえなくならない？傘さしてない時より距離離れるし」
「…まあ確かに」
ユキ「それならさ、2人で一緒の傘に入ったら距離近くなるしいいじゃん。雨、好きになるじゃん」
瑞稀が隣にいる手前、頷きにくい。
ユキ「あ、きた！あれ私の彼氏」
ユキが指さしたのはたまに見かける制服を着た男子生徒。ぺこりと頭を下げられるので私も下げ返す。
ユキ「じゃあねA！井上くんも！」
「傘ありがとね、ばいばい」
ユキと彼氏がいなくなると瑞稀が外を見て言った。
瑞稀「行くぞ」
「…うん」
瑞稀「何、恥ずかしがってんの？」
恥ずかしくないわけ、ない。
ユキにあんなに相合傘語られて
その後好きな人と相合傘なんて。
瑞稀「どんどん強くなってきてるぞ、雷とか鳴り始めんじゃね？」
よし、意を決して入ろう。
瑞稀にバレないように鼻で深呼吸。
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作者名：ski | 作成日時：2019年7月20日 9時
