シークレットラブ【Mizuki.I】 (ページ34)

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◇34 Mizuki ページ34

「ちょっとだけ久しぶりだね」

瑞稀「そうだな」

お互い下駄だからいつもより歩くのが遅い。

提灯の灯りに吸い込まれるように2人で手を繋いで歩く。

瑞稀「A、誰かと遊んだ？」

「夏休み始まってから？」

瑞稀「うん、まだ数日しか経ってないけど」

「んー、ミホとユキと遊んだ。ユキの家で」

瑞稀「家？映画館とかじゃなくて？」

「うん。2人ともね、私のために浴衣に合うメイク髪型…ううん、なんでもない！今のは忘れて！」

瑞稀「…なんて言おうとしたんだよ」

なんとなく分かっちゃった。
Aの家の前でAを見た時、
世界一可愛いと思った。

もちろん日常生活でも毎日可愛いとは思ってるけど、違う可愛さ。

いつもはしてないであろう化粧をして、
髪の毛ちゃんとしてくれて。

学校では、化粧っ気がなく飾りっ気がないのに可愛くて好かれてるAだけど、こんな可愛いAを見たら男子全員堕ちる。自信ある。

誰にも見せたくない。それくらい。

俺のために頑張ってくれたの？
聞きたい。すげえ聞きたい。

「あ、浮所」

瑞稀「は？」

Aが指さすほうをみると浮所。
と、同級生数人。

浮所「あー！西野と井上じゃん！」

ぺたぺた駆け寄ってくる浮所。来なくていいから。

浮所「2人とも浴衣なんだ！似合ってる！西野かわいい！」

浮所の言葉にニカっと笑顔になるA。
「かわいい」そう素直に言えたらどんなにいい事か。

無意識のうちにAの手を握る手に力が入る。
Aはびっくりしたようにこっちを向くけど知らんぷり。