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見ていられなかった。
必死にAに嫌われようとしている永瀬をこれ以上見ていられなかった。
自分からはAを嫌いになれないって悟ってまずは自分か嫌われようと思ってる永瀬を見ていられなかった。
そんなに、うまく行くモノじゃない。
Aは永瀬を嫌いにはなれない。
まあもちろん恋愛感情で好きってゆー気持ちならないけど。
「愛莉、ありがと」
廊下を歩きながらAがそう言った。
少し泣きそうな声で。
「何か言っとくから〜、何が原因かるーく聞いてみるよ」
「さっきそれが原因!って言ってたじゃん〜」
「あ〜あれは気のせい、間違えた」
正直に言ったらきっとAは傷つく。
「私何かしたかな」
違う、
Aがなにかしたわけじゃない。
何も悪いことはしていない。
ただ人を好きになっただけ。
その人と想いが通じあっただけ。
階段を降り始めた時だった。
2年生の教室は2階。
職員室は1階。
「ええ加減にせえよ!」
「…今の平野?」
「…だよね」
「…戻る?」
「…戻るか」
そのただよらぬ雰囲気はここまで伝わってきた。
いつも声を張り上げない平野が
階段まで聞こえる声で怒鳴ってるから。
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作者名:ski | 作成日時:2018年10月27日 15時