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「愛莉ー」
今日から愛莉は学校。
「なにー？」
今は部活の時間。
愛莉は念の為部活はしないで見学って予定だったんだけど
マネージャーの私のお手伝いをしてくれるみたい。
「優太くんにさ、聞かれたんだよね」
「何を？」
「なんでマネージャーやってるの？って」
「…あーなるほど、で？」
「怪我のこと言えなかった」
正直言うと罪悪感はちょぴっとある。
別に言ってどうこうなるわけでも言わなかったからどうこうなるわけではないけど
嘘をついたって訳でもないけど
なにか隠し事をしてるみたいで気持ち悪い。
「…言わなきゃいけないって事はないけどさ」
愛莉はストップウォッチを首にかけながら口を開く。
「この先もし岸さんと付き合って結婚して人生を共に歩んでいくなら」
「…気が早い」
「もしもの話！絶対に無いとは言いきれないし。で、子供が出来て子供が大きくなって自分が中高生時代の話をすることになったら、部活の話をすることになったら」
アップでジョグをしてた1人がもうすぐこっちに来る。
「岸さんはもしかしたらショックを受けるかもしれない。自分はそんな大事な話聞いてなかったって。A、手術跡残ってる？」
「…そんなに」
「じゃあ気付かないかもしれないし気付いたとしても気を遣って岸さんは何も聞いてこないかもしれない。でもねA」
明日からは文化祭優先期間。
だから部活はなくなる。
だからみんないつもより張り切ってるからいつもより早くアップから帰ってくる。
「無理して言うことないんだよ」
冷たい風が頬を撫でる。
「自分のペースでいいから、なんだったら一生言わなくてもいいんだから。言う義務なんてないし」
愛莉はにっこり私に微笑んだ。
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作者名：ski | 作成日時：2018年10月27日 15時
