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「非通知だから出てくんないかと思ったー」
「どちら様ですか？」
「俺、東高の生徒」
「東高の方が私になんの用ですか？」
「真矢愛莉」
動揺を悟られたらこっちの負け。
「返して欲しかったら1時間以内に東高の体育倉庫に来い。通報なんて馬鹿げたことはすんなよ」
そういってすぐ切れた。
もしかたらいたずらかもしれない。
でもいたずらじゃなかったら。
「あの、私今日は帰ります」
「え？」
「すみません」
「ちょ、ちょっと待って！」
ノートもテキストも教科書もペンケースも全部リュックに詰め込んで席を立つと優太くんに手首を掴まれた。
「電話、誰だったの？」
「ただのイタ電です」
余計な心配はかけたくない。
「ほんとに？」
「ほんとです！」
嘘かどうかはまだわからない。行ってみないと。
「じゃあ今からどこ行こうとしてるの？」
「別に…」
ああこれ…私の癖なんだ…
嘘つく時とか何かを誤魔化す時に下を向く癖。
今私の目にはカフェの床が映ってる。
「東高行こうとしてる？」
「そんなこと…」
ない
とは言えない。
東高に行こうとしてるのは本当。
東高に行かないというのは嘘。
もうこれ以上後ろめたい事を言いたくない。
「俺も行くから」
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作者名：ski | 作成日時：2018年8月27日 20時
