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無理を言ってこの勉強部屋を作ってもらったのは、アニメが好きな君と勉強がしたい僕にそれぞれ自分の部屋があったから

参考書の詰まった本棚に少しだけ漫画が混じっているのは、君におすすめされたらハマっちゃって今も新刊が出たら欠かさず買っているから

引き出しの奥に君との写真が残っているのは、

「………まだ、…っ」

不意に溢れそうになって、慌てて目を閉じた
あの日、この涙とはサヨナラをするって決めたんだ

ひとつ呼吸を置いて、机に座りペンを手に取る

“御”を二重線で消して、“出席”の文字をゆっくりと丸で囲んだ

俺は本当に自分勝手な人間だと思う
自分から手放したのに、いざ他の人のものになってしまったらこんな気持ちになるだなんて

でも、一緒に居続けたらもっと君を苦しめてしまうんだろうな
だから、きっとこうなるのが正解だったんだ

数ヶ月後君に会う時、笑顔でおめでとうが言えるように

桜の花びらが、舞い上がって落ちていくことのないように

君が、僕の知らない誰かの隣で笑えますように

そう心から願いながら、やっぱりサヨナラできなかった涙を一粒だけ桜色の手紙に落としてしまった

end.