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‪𓈒 𓂂

今日は連日の雨が上がって、暖かな陽気がよく感じられる
家の近くの公園にある大きな一本桜はすくすくと蕾を膨らませていて、今にも咲きそうなものもあった

久しぶりのゆっくりできる休日だったので、今は肩の力を抜いて散歩をしているところ
でも、そろそろお昼時なので少し遠回りをしながら家に帰る

いつものように郵便受けを覗くと、1枚の手紙が入っていた

差出人を見ると、君の名前とその横に俺の知らない可愛らしい名前
中を開けば、綺麗な桜色に縁取られた便箋にこの春めでたく結婚式が執り行われる旨が綴ってあった

いつかは、って思ってたけど
いざその時が来たらなんだか、…なんとも言えないな

『ちょっと！そこは佐久間さんの素晴らしい門出を喜ぶところでしょ！』

今にもそんな君の声が聞こえてきそうな気がした

うん、そうだよね

君が他の誰かと愛し合ってちゃんと幸せになっているところを見届けられるなら、それは本望だ

“おかえり、どうかしたの？”

「あぁ、ちょっとね」

家のドアが開いて声をかけられた
窓から帰ってきたのが見えたのかな

彼女はゆっくりとこちらに近づいて、俺が手に持っている手紙をまじまじと見つめた

“結婚式の招待状…これ、亮平の知り合い？”

「うん、俺の……大事な人」

“ふーん、？”

つまらなかったのか、彼女はそれより！と玄関で靴を脱ぎながら昨日の検診の事を話し始めた

“この子、順調だって”

「…そっか、良かった」

彼女はまだ何か言いたそうだったけど、俺が自分の部屋に入る素振りを見せるとそのままリビングの方に戻って行った