paradigm

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「…はぁ、っ…さくま、きもちよかった？」

『…っ、も〜、…やりすぎだよぉ…』

「ははっ、ごめん笑」

『…、うん』


「………ねぇ、」



阿部ちゃんがやさしい手つきで俺の頭を撫でる。



『ん、？』

「……ごめんね」



突然阿部ちゃんが謝った。

どうしたんだろう。



『…なにが、？』

「…こんな風にしか愛せなくて、ごめん。」



阿部ちゃんの悲しげな瞳が傷だらけの俺の体をみつめている。



『あべちゃん、…』

「もっと普通に、皆んなみたいに…痛くしないでただ愛し合えればよかったのかな」



…ちがう

阿部ちゃんは、何もわかってない。



阿部ちゃんは、少しネガティブなところがある。

本人曰く俺のおかげで少しポジティブな思考になれたらしいけど、やっぱり元ある性格は完全には消し切れない。

いつもはあんなに楽しそうに俺を虐めてくれるのに、たまに世の中の｢普通｣と俺たちとのギャップに苦しんでしまうことがある。


でも、そんなの気にして何になるの？




『阿部ちゃん』



不安そうに俯いていた阿部ちゃんが恐る恐る顔を上げた。



『阿部ちゃんは、俺と居て幸せ？』

「……もちろん」

『ふふ、俺も。』



優しく語りかければ、少しだけ阿部ちゃんの表情が和らいだ気がした。

でも未だ不安の色が消えないその瞳を真っ直ぐに見つめる。



『傍から見たら俺たちは異常かもしれないけど、好きなものなんて人それぞれでしょ？』



ハグが好きな人がいれば、キスが好きな人もいる。


それと同じで、

俺は自分の体を痛めつけられるのが好き

阿部ちゃんは人が苦しんでるのを見るのが好き

ただそれだけの事。


例え周りに理解されなくたって、

俺には阿部ちゃんがいればそれでいい。


阿部ちゃんも、同じだよね？



『俺はずっと前から、阿部ちゃんのことしか見えてないよ』



そう言うと、阿部ちゃんは少しだけ目を見開いて、そして微笑んだ。

もうその顔は、いつもの阿部ちゃんだった。






阿部ちゃんが求めるなら、俺はいつだってこの身体を捧げるよ。

なんでかって、そんなの簡単


歪んでいようが、腐っていようが、

それが俺たちの愛のカタチだから。



ずっと、ずーっと

愛してるからね



end

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