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そして、しばらくしてユウとグリムも合流し、私の入学祝いの宴(?)が始まった。
食事に呼ばれて広間にいくと、何十人分もの豪華な料理が準備されていて、既に寮生達はテーブルに着いていた。
スパイスの香ばしい香りが部屋いっぱいに広がっている。この香りだけでよだれが出そうだ。
「…な、なんですかこれ!こんなに豪華なものいつの間に……!」
「ジャミルと他の寮生達が用意してくれたんだ!どれも絶品だぜ!」
カリム先輩がそう言いながら私たちを席まで案内してくれた。
この量を全て手作りでこんな短時間で用意するなんて……ここにいる人たちは相当料理が上手なんだろう…。
厨房からジャミルさんと数人の寮生達が出てきたところを、カリム先輩が呼び止めてこっちへ連れてくる。
「ここにいる奴らが、今日の食事担当だ!」
「あ…あの、ありがとうございます!!こんなに豪華なもの、この短時間で一体どうやって…」
「俺たちはいつも大人数で食事をする。だからこの量の食事を用意するのにも慣れてるんだ。…だが、今日は急だったからそんなに豪華なものではないがな。」
「え!?これで豪華じゃないんですか……?」
「いつもの食事と同じだ。まぁ…君たちの分が増えて少し量が多いくらいだな」
(これで『少し多い』なの!?ジャミルさんってやっぱりすごすぎて……感覚がおかしくなりそう…)
「まぁ俺が監修してるし味は保証する。君はスカラビアの雑用係だから、これから忙しくなると思うが、今日くらいは沢山食べて楽しんでくれ」
「わ、わかりました…。」
なんだかこれからこき使う気は満々だけど、一応私のことを気にしてくれていたみたいだ。
「さ、みんな揃ったことだし、食べようぜ!」
「「いただきまーーす!!」」
寮生達が一斉に食事を始める。
チキンにスープにサラダ……いろんなものありすぎてどれから食べようか迷ってしまう。
「A、これうめーゾ!食ってみろ!」
そういってグリムが私にチキンを差し出した。私は言われた通り、それをフォークで少し取って口に入れる。
「……っ!う、うまぁ……」
「だろだろ!?ジャミルの飯は何回食ってもうめ〜〜〜!!」
「天才シェフですか???」
「大袈裟だ。」
「私、一生スカラビアで働きます」
「君……チョロすぎだろう」
「だって…フルーツジュースといい食事と言い…最高すぎる」
なんだかんだ文句は言ったが、もしや最高の環境なのでは…?と思い始めていた。
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リオ - 更新頑張ってください! (2021年2月27日 14時) (レス) id: af465deb02 (このIDを非表示/違反報告)
星 - 小説とても面白いです!私はカリムとジャミルが大好きです!更新頑張って下さい! (2020年12月12日 16時) (レス) id: 43b4052d04 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らの | 作成日時:2020年11月8日 19時