月曜日21時のヒロインⅡ【R.S】 (ページ2)

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ryuto

本番いきまーす！とスタッフさんの
声が響き、いざ本番が始まる。

「"光っ…！！！”」

リハと同じ様に綾瀬さんの腕を掴み、
ぐっと抱き寄せる。

いとも簡単に俺の腕の中に収まってしまう。

本当に近くて、心臓のドキドキが
綾瀬さんに聞こえてしまいそう。

「"俺っ…どうしようもなく光が…”」

台詞を言い、綾瀬さんを抱き締める腕に
力を込める。

次は、綾瀬さんの台詞のはず…

台詞が飛んでしまったのか、
綾瀬さんから言葉が聞こえてこない。

「駿、聞きたくない、です。」

綾瀬さんの耳元で囁く。
顔を埋めているから表情は分からない。
でも反応したような気がした。

「"や…やめて…聞きたくない…”」

絞り出すように出た声。
それはそれは切なさに帯びていて、
葛藤する光がそこに存在しているかのよう。

「カーーーット！」

監督の声が響く。

「ちょっと間が空きすぎちゃったかなぁ。」

「もう一回やってみようか。」

まさかのTAKE2だった。

「作間くん、ごめんなさい…。」

横で綾瀬さんが俺に頭を下げる。
せっかく助けてくれたのに、と。

「全然！！全然大丈夫です！」

シュンとする綾瀬さんを見たくなくて。
わざと明るく答える。

こんなにシュンとしてるってことは
珍しいんだろうなぁ、こんなこと。
まさかこのシーンをもう一度やるなんて
思わなかったけど。

「はい、じゃあ再開しまーす。」

撮影が再開する。
3.2.1の掛け声と共に心拍数が上がる。

「"光っ…！！！”」

そういって抱き寄せた綾瀬さんは
さっきよりも小さく感じて、
俺が、守りたいって、そう、思ったんだ。