【REBORN!】だいすきお兄ちゃん【４】 (ページ9)

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《１５４》ページ9

【XANXUS side】

「あかとくろのおにーちゃんがわるいことしちゃったのはいけない。それはごめんなさいってしなきゃなんだよ。
…でも、あかとくろのおにーちゃんはやさしいひとだってわたしはしってるんだ。きのうたすけてくれたのはおにーちゃんだけだったからね！」

昨日出会ったばかりの奴なのに、こんな自分の汚いところを知られたくないと思っていた。
それでも何故か自分の口は自然とその事を語り、同時に話した事を後悔しながら少しの不安を抱いていた。
きっと軽蔑の眼差しで見られるだろうと、何も言わずにこの場から立ち去るだろうと。
そう思っていたのに、俺の話を聞いた後のこの女の顔は曇る事なく真っ直ぐ俺を見ていた。
最後には笑みを向けられれば、その笑顔は暗闇を生きてきた俺には眩し過ぎるほどに明るく、でもそれが無性に嬉しかった。

「……ありがと、な…」

気づけば俺は目の前にいた女の体をキツく抱きしめ、その首元に顔を埋めていた。
最初こそ不安そうに声をかけていたものの、微かに震える俺の体を感じ取ったのか、いつの間にかかける声は無くなり感じるのは体が包まれる感触。
まだ短い手をめいっぱい伸ばして俺の体を抱きしめようとするその姿が、兄として慕われているせいなのか心が燻られ、無性に愛らしく思った。

「ふはっ！…そんなちっちゃけりゃ慰められてる気にもならねえな」
「むぅ…いじわるいっちゃいけないんだよ」

不貞腐れたように頬を膨らませる女の頭を撫でてやれば、女は自分が不貞腐れていたことなど忘れて嬉しそうに笑う。
これもまた愛らしいその姿に、顔も名前も知らないこいつの本当の兄貴が正直羨ましいと、心の奥で嫉妬にも似た感情を覚えた。

「あかとくろのおにーちゃん……わたしがあしたとこれなくても、またいつかあえる…？」

思い出したように立ち上がり、時刻を確認するなり慌てた様子で身支度を整える女。
何も言わずに出てきたからと焦るその顔にまだここにいろとは言えるわけもなく、吐き出そうとした言葉はぐっと喉奥に飲み込んだ。
身支度を終えた女は不安そうに言葉を紡ぐもんだから、俺はその不安を取り除くようにニッと口角を上げながら笑い紡いだ言葉に、女は晴れた顔を向けその場を後にしていた。