《１７８》 ページ33
【XANXUS side】
知りたく無かった現実を知ってから時は経ち、気づけば季節は新しい風を吹かせている。
俺が怒りと憎しみだけを腹の中に抱えて生きている中、ボンゴレ主催のパーティで1人の男と出会った。
「俺の剣を、テメェにくれてやるぜぇ！」
スペルビ・スクアーロと名乗る銀色の髪をしたカスは鬱陶しいほどの声でそう告げた。
口角を上げて笑うその顔は負けを知らずただ自信に満ちていて、それが逆に不愉快極まりない。
普段なら瞬時に蹴り飛ばしてやる所だがそれをしないのは、少し引っかかる部分があったから。
幼い頃、複数人の男から俺を守ってくれた小さな女は、男達に�猥�慢兄妹�瓩噺討个譴討い拭�
偶然にも傲慢を名に持ち、あの女と同じ髪色をしたこの男を見れば、あの女との繋がりを求めてしまう自分がいるのも仕方ないと言えるだろう。
「…てめぇには家族がいるか」
「あ？…あぁ、いるぜぇ。泣き虫な癖して強がりで甘ったれで、バカみてぇに真っ直ぐ俺の元に走ってくる妹がなぁ」
普段は生意気に笑うカスが、妹のこととなればそんな顔をするのかと驚きを隠せぬ程に穏やかな笑みを見せて語り出す。
次いでカスが俺に同じ問いを投げ掛ければ、俺は少しの沈黙を持って口を開いた。
「………てめぇと同じく、妹だ。たった数日だけの、な」
そう。あいつは誰が何と言おうと俺の妹だ。
意味深なその言葉にスクアーロは不思議な顔で俺を見ていたけれど、俺はそんな視線など気にも止めることなく女の姿を浮かべていた。
あの女と同じに光る銀色の髪。俺の知る記憶の中の姿とは似つかわしくないその姿は、年月を重ねているからか、はたまた人違いだからか。
確認することなど出来ぬその事実は俺を悩ませると同時に、幼い自分が嫉妬していた存在が今目の前にいる事が何処か不快で堪らなかった。
「…チッ、うぜぇ」
「何か言ったかぁ？御曹司…ッ！？」
気づけばその銀を握り締めると、俺は当然のように側にあったテーブルへと打ちつける。
瞬時に鈍い音が聞こえれば、間髪いれずにスクアーロの怒声が俺の耳元で響き渡った。
何事かと周囲の視線がこちらに集まると、俺は続けてスクアーロの鳩尾に膝を入れていた。
「るせぇ、でけえ声出してんじゃねえ」
「…、っ、れが黙ってられるかぁ！！！！」
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作者名：まいたけ | 作成日時：2023年9月21日 21時
