【REBORN!】だいすきお兄ちゃん【４】 (ページ24)

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《１６９》ページ24

【XANXUS side】

目の前で起きている出来事は、現実なのだろうか。
無惨にも地に体を這いつくばらせ、その光景を見ていた俺はこの目で見ているというのに、俄かに信じ難い出来事を目撃している。

出会ったばかりの1人の女の第一印象はただの泣き虫だった。
そりゃ初めて顔を合わせた時に汚ねえツラして泣きじゃくられりゃ、誰だって印象はそうなるだろう。
しかし話すうちにこの女は眩しい程の笑みを俺に向けてくる。
例えるなら太陽だとか、向日葵だとか、そんなありきたりな物だがそれが誰よりも似合うほどに明るい笑みが、少し羨ましいとすら思うほどに。
そんな笑みも時折ふにゃふにゃしたような顔になった時には、不覚にもこんなガキに胸を高鳴らせた事もある。
ころころと変わる表情は見ていて飽きなくて、そのどれもが愛らしいと何度も思った。
けれどやっぱり俺の中での印象は泣き虫だということが染み付いていたからこそ、余計にこの女を守りたいと強く思っていたんだ。
さ
—————それなのに、今、
この女を守るどころかろ、俺は守られる立場にある。
まだまだ未発育な小さな体を器用に使いながら、数人の大人達との攻防を繰り広げる。
いつの間にか相手から奪ったナイフは女の手元に、その刃は自身の身長を大きく上回る大人目掛けて幾度も振られていた。

「コイツ…っ女のガキの、くせして！」
「こどもだからってゆだんしたら…いのちとりだよ？」
「ぐッ、！」

目の前で舞う血飛沫が辺りに飛び散ると、女は自身にも降りかかった血を拭う。なか
隙間から大人達を覗き込む目は鋭い光を宿していた。ざただま
あの可憐な姿からは想像できぬその姿は、まさに獣が獲物を喰らおうとしている様で、そのギャップに思わず息をのむ。

「…おまえ…は、一体…」

呟く俺の声が女の耳に届くことなく、ただ床に這いつくばる俺はその姿に疑問を抱く。
俺の暮らす陽の当たらぬ所とは真逆の、明るい世界で生きている人間だと思っていた。
まだ出会って数日。知らないことが多くて当然のはずなのに、初めて見るその一面に少し…いや、だいぶと言っていい程のショックを受けている自分がいた。