【REBORN!】だいすきお兄ちゃん【４】 (ページ19)

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《１６４》ページ19

エピソード164

「…は、っ…はぁッ……」

目的地までの一本道。私は両手に抱えたものを落とさぬように慎重になりながらもその道を持てる力で走っていた。

あの後、兄から少しの疑念を持たれ問い詰められはしたものの、結果として1人での外出を短時間であればということで許可された。
しかしいざ出かけようとしたところで兄の心配性が発揮されれば、やっぱりついて行くなんて言い出し始める始末。
玄関で軽い言い争いをしていた所に両親が駆けつけてくれたおかげでようやく解放されはしたものの、家を出る頃にはもうまもなく約束の時間を迎えようとしていた。

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時刻は約束の10時を少し過ぎた頃、ようやく辿り着いた目的地。
目当ての人物の姿見当たらず、辺りをキョロキョロと見回していると、全速力で走って来たツケが回って来たのか私の体は一瞬のふらつきを感じた。

「あー…Aのお菓子がぁ…」

咄嗟に体を庇おうとしたのが悪く、腕の中いっぱいに抱えたお菓子は傾れるように地面へと散らばる。
落ちたお菓子を一つ、また一つと払っては拾ってを繰り返すも、中々片手では収まらない量に再び散らばる光景に、私は次第に目を潤ませる。
けれど正直、私の目を潤ませる原因はお菓子などではない。
〝ここでいつだって待ってる〟
そう告げた人物がいない事が、嫌われてしまったのではと、私の気持ちを暗くさせる。

「……ゔ―…あかとくろのおにぃちゃぁん…」

小さく呟くその言葉に、返事なんてあるわけないのに。
会いたい。溢れる涙と共に溢れた言葉が消え入る頃、

「…何やってんだ？」

聞き覚えのある、何処か気怠げなその声音。
その声に思わず顔を上げると、私は辛うじて拾えていたお菓子なんか投げ捨てて、その胸に飛び込んでいた。