【REBORN!】だいすきお兄ちゃん【４】 (ページ18)

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《１６３》ページ18

《スクアーロside》

「A？さっきからどうかしたかぁ？」
「え、っとね…、なんでもないのー」

朝食を食べ終えた後、普段ならお腹いっぱいだ何だとだらけ始めるAは、どこか落ち着かない様子だった。
繰り返し時計を眺め、もう中身はほぼないマグカップを口に運んでは置いてを繰り返す。
その態度で何でも無いが通用するはずもないのに、へらへらと笑うAは早々に俺から目線を外しまた時計を見やる。
先程からもう何度時計を見ただろうか1秒1秒刻む秒針を見るその目線が、どこか寂しげにも見える。

「…何処か行きてえなら言えよ？兄ちゃん連れてってやるから、な？」
「だっだいじょーぶ！なんもないの、だいじょーぶなの！」

首を横にブンブンと振り乱し、全身で”NO”を示すA。
そんな断固拒否みたいに拒まれたら流石の俺でもへこたれるぞ。なんて声には出さないものの、心の内ではしっかりへこたれる俺は、顔に出さぬよう平然を装う。
しかしこうも拒まれれば正直何も出来やせず、わかったとだけ伝えて頭を撫でれば早々に席を立つ。

「まっておにーちゃん…っ」
「ん？どうしたぁ？」

部屋を出ようとするや否や、Aは俺の元へ駆け寄り、その小さな体はめいっぱいの腕を伸ばして俺に抱きついていた。
俺の妹が甘えて来て可愛すぎる件について、今すぐにでも誰かにこの光景を見せてやりたいほどの愛らしい姿に、つい先程拒絶されたことなどすっかり頭の中から抜け落ちていた。

「……A…おでかけしたいの…」
「おう。それじゃ準備すっかぁ」
「ちがうの、…ちがくてね…あのね……ひとりでおでかけ…したいの…」

場所は言えないけど。
そう小さく呟くAがどんなことを思いその言葉を発したのかは、顔を埋めているせいで表情も伺うことが出来ないためにわからない。
しかしその声音からAが不安そうにしているのがわかれば、その場にしゃがみAを抱き締めていた。

何となく、あの日迷子になってからというものの、そう言い出す日が来る気はしていた。
別に1人で出かける位どうってことねえというのになぁ。

寂しい、という感情が無情にも抱き締める腕に力を込めさせた。