【REBORN!】だいすきお兄ちゃん【４】 (ページ17)

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《１６２》ページ17

【スクアーロside】

「ぷはぁ！気持ちよかったねーっ」

風呂上がり、シャワーだけのつもりがしっかり湯船にまで浸かって出てくれば、Aは小さな手でグラスを抱えグビグビとジュースを飲み干した。
次いで俺の前に差し出されたグラスは、恐らくおかわりを強請っているのだろう。
しかし俺が当たり前に冷蔵庫を閉めれば、Aはあからさまに落ち込んだ顔で俺を見つめる。

「ンな顔したってダメなもんはダメだぁ。ジュースは風呂上がりに1杯までって兄ちゃんと約束したろぉ？」
「じゃあもっかいおふろはいるーっ！！」
「こらっ…脱ぐんじゃねぇ！」

このやり取りはもう風呂上がり恒例。毎回ダメだと言っても聞かないAはその感情に身を任せその場で服を脱ぎ捨てた。
肌を曝け出し部屋を駆け足で出ていくAを追いかけるや否や、その体を簡単に抱えてやると、相変わらず腕の中で暴れ回る。

「そんなわがまま言うなら兄ちゃんは一緒に風呂入らねえぞぉ！？」
「むー…けち！」
「ゔおぉい！ケチってなんだぁ！！」

気づけば俺達の声の大きさに駆けつけた親父達はそんな光景を微笑ましいなんて言いながら眺めていた。
そんな両親の視線になど目もくれず、駄々を捏ねて暴れ続けるA。
散々暴れ回ったらところでひとつ大きなくしゃみをすれば、ピタリと動きを止めて俺を見る。
寒いという視線に先程投げ捨てられたAの服を差し出すも、意地になっても着ないと首を横に振るAを見て俺は一つ大きな息を吐いた。

「……ったく…ほら、兄ちゃんの服ならいいかぁ？」
「ふあー…おにーちゃんのにおいだねぇ…」

ブカブカの袖を口元に持って行くなり大きく息を吸い込み、ふにゃふにゃな顔で俺を見るAはうっとりとした声音でそう呟いた。
なんだこのむず痒い感覚は。その表情につられて俺も頬をゆるめてしまう。

「それじゃあ風邪引かない内に温けえモンでも飲むかぁ？例えば…コ」
「ココアとかーっ！」

待ってましたと言わんばかりに俺の声に被せて来たA。
きっとその頭の中には自分が漏らしたことなどもうすっかり抜け落ちているのだろう。
小さな手は俺の手を引いて走り出していた。