【REBORN!】だいすきお兄ちゃん【４】 (ページ12)

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《１５７》ページ12

口の中に放った飴が歯と擦れると、小さく軽い音が口の中に響いた。
舌に触れると弾けるような爽快感と甘さは私の頬を緩めさせる。

「んーっ！あめ、おいしーねぇ…」

両頬に手を当てとろけるような笑みで呟く私に、隣を歩く兄は私の頭をわしゃわしゃと撫でる。
その行為が嬉しくまた笑みを漏らせばまた撫でられのループをいくつか繰り返しながら、私達は自身の部屋へと向かっていた。
途中、玄関ですれ違った両親が私の姿を見て安心したように抱きしめてくれたことからも、みんなで探してくれていたんだということに気づき少し胸が痛んだ。
それでも両親は特に咎めてくる事はなく、軽く兄と目配せすれば早々に立ち去っていった。

「あれ、おにーちゃん、Aのおへや…」
「いいんだよ」

兄に手を引かれ歩いていれば、私の部屋を当然に通り過ぎていく。
その隣にある兄の部屋の扉が開かれれば入るよう促され、一歩足を踏み入れれば私は駆け足でベッドへと倒れ込んだ。

「おにーちゃんのおへや、おにーちゃんのにおいだねっ！」
「おまっ…やめろぉ！当たり前に嗅ぐんじゃねぇ！！」

枕元に顔を埋め、目一杯息を吸い込めば兄の匂いが鼻いっぱいに入ってくる。
その光景を見るなり駆け寄り私の体をベットから引き剥がす兄の頬は赤く染まり、ジタバタと暴れる私を両腕で押さえ込んでいた。
しかし抵抗を続け暴れたところで幼い私が兄に敵うわけもなく、不貞腐れながらも兄に従うと、静かに床へ下ろされる。
勝ったと言わんばかりに見られると正直ムッとするけれど、結果が見えてしまっているため顔には出さない。
ゴロンと床に寝転ぶ私を見ると兄もそれを真似て隣に寝転べば、片腕で私を抱き寄せた。

「…なぁ、A…兄ちゃんに何か隠し事してねぇかぁ？」
「……かくしごと…？」

何のことかと首を傾げる私。しかし内心はその言葉に脈が速くなるのを感じていた。
きっと兄が言っている隠し事というのは、男の子の事と、近づくなと言われていた路地裏に行ったことだろう。
しかし話せばもう二度と男の子に会えなくなってしまうかもしれない。
そう思うと私の口は自然と誤魔化しが溢れていた。