【REBORN!】だいすきお兄ちゃん【４】 (ページ2)

今日:3 hit、昨日:30 hit、合計:3,431 hit

《１４７》ページ2

私は知っている。あかとくろのおにいちゃん。

風に揺らされるその黒は今みたいに少し乱れてて、けれどそれが顔立ちの良さを引き立てていた。
当時も今も私の一番はいつだって大好きな兄だから、こればかりは仕方ないけれど、幼いながらに出会った人達の中でその“あかとくろのおにいちゃん”は兄に並んでかっこいいと思ったほど、その顔立ちは綺麗だった。
思わず見惚れてしまう顔立ちに私もたちまち目を惹かれたが、私は中でもその深い紅に目を奪われた。
目にかかるくらいの少し長めの前髪から覗く紅は、今でこそ怒りに燃え鋭く光らせているけれど、今のボスの面影を残しながらも昔はもう少しあどけなさを兼ね備えていた。

・
・
・

「おにーちゃん…どこいっちゃったのぉ…」

兄と出かけていた時、人混みに行手を阻まれ私は道に迷ってしまった。
迷ったら動くなときつく言われてはいたけれど、幼い人間がいざその状況になれば混乱故にそんなこと覚えていられるわけがない。
兄を探そうと行く道を適当に歩いていると、気がつけば人混みを抜け寂れた土地にたどり着いてしまっていた。
がらんとしたその空間は兄とはぐれた事への不安を一層増幅させ、私は目に涙を浮かべる。

「…おに、ちゃん…どこなのぉ…っ」

涙で言葉を詰まらせ、不安と恐怖で声を振るわせながらも絞り出した小さな声は不気味な空間に消えていく。
念の為にと、兄に持たされていた護身用のナイフを気付けばキツく握りしめていた。

「…ひとりなのか？」
「…っだ、れ？」

どこから現れたのか、一体いつからそこに居たのか、気配を感じず現れるなり声をかけて来た存在に私は恐怖を抱くより前に警戒する。
振り返った先には私の不安を感じ取ってなのか、心配そうな顔つきで私を見つめる1人の男の子。
兄よりも少し大きい身長と、揺れる黒い髪。
私を見据える深紅に吸い込まれるように、私はその瞳から目が離せなかった。