【REBORN!】だいすきお兄ちゃん【３】 (ページ36)

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クローゼットから一枚の服を取り出し身に纏う。
ここ最近は隊服を着続けていた故に私服は久しぶりだが、これも私服と言っても私服風隊服だ。
隊服に変わりないけれど、普段とは違う服装にどこか心踊る。
軽く身だしなみを整え部屋を飛び出せば、私は待ち合わせ場所に向かった。

「お兄ちゃん！お待たせ！」
「バっ…走るんじゃねえって言ってんだろぉ！」」

未だドクターストップの解けぬ私は今こそは安静を言われてないものの、気をつけるようには指示を受けている。
兄はこんな事を言っているが、一応先日私とベルを全力で追いかけ回していたご本人様。
そんな屁理屈を言えば平気で拳骨が落とされるから言わないけれど、兄の言葉を今は無視して胸に飛び込めば、近距離で私は兄の怒声を浴びる。

「もうっ！お兄ちゃんうるさい！」
「ンぐ…ッ！？」

散々怒声を出し続ける兄の口を鼻ごと手で覆ってあげると、不意のことで兄は少し苦しそう。
普段見ないその姿に少し揶揄えば、すぐさまその手は引っ剥がされ立場は逆転する。

「ゔおぉい…あんまり調子に乗るんじゃねぇぞぉ…」

掴まれる頭に命の危機を悟れば、私は全力で兄に謝罪を述べた。
その姿に仕方ないとして手を納めた兄は、行くぞと一言告げ私の前を歩く。
月明かりに照らされる銀は幻想的で綺麗だけど、昼明かりで見ればキチンと手入れされているのがよくわかる。
その銀を追って私も足を踏み出す。そう、今日は久しぶりの通院日。
前回行った時にも経過は順調だったからそろそろ現場復帰も近い事だろうと、私だけじゃなくみんなが期待してくれていた。

「ねぇねぇ、今日で復活とかあったりするかな？」
「そりゃねぇだろうなぁ」

病院へ向かう車内でなんて事ない会話を繰り広げる。
復帰したらしたいこと、やりたい任務。これからの活動に心躍らせ問い掛けると、兄ときたらこれだ。
少しぐらい期待させてくれてもいいと言うのに私の期待をすぐ撃ち落とす。

「意地悪ばっか言って好きな人に嫌われちゃえばいいのに…」
「あ”ぁ！？なんか言ったかぁ！？」
「べっつに〜」

小さく呟いた私の嫌味。聞こえていないようで少し一安心。