【REBORN!】だいすきお兄ちゃん【３】 (ページ29)

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「…ったく、Aも気ぃつけやがれぇ！」
「……絶対私のせいじゃない…」

結局ボスの完全なる揶揄いだったということで、私の初体験はいまだに守られていることに安心したものの、私は部屋に戻り兄から叱責を受けていた。
確かにボスの腕に抱かれて眠りについてしまったのは不本意だったけれど、今回の件に関して私は悪い事をしたわけでは無いのに何故怒られているのか。
その理由がわからないからこそ反抗的にしかその説教を受けられず、兄は怒りを浮かべていた。

「テメェがそもそも隙を見せなきゃXANXUSだってあんなことしねぇだろうがぁ！何でそれがわからねぇ！！」
「ぃで…っ！」

言葉と共に一発握り拳が脳天に落とされれば響く衝撃に私は頭を抑える。
続けてわかったかと問われても、やはり納得のいかない私は空返事しかできないでいた。

「わかってねぇようだなぁ…」

そうかそうかと、言葉を繰り返しながらまた握り拳を今度は両手に構えればこめかみにあてがわれ、私はその後の行為を予想すれば全力で謝罪を述べる。
しかしもう何度目かの反抗に、兄は制止を聞く耳など持ち合わせていない。
その拳がぐりぐりと私のこめかみに押し当てられるなり、部屋には私の悲鳴が響き渡った。

「痛い痛い痛いぃぃ！！！ごめんてばお兄ちゃん！こ、降参んんんー！無理ぃい！！！」

幾度もその腕を止めようと掴んでも兄の力は増すばかりで、痛みに涙を浮かべながら私は全力で白旗を上げ続ける。
ようやくその手が止まった頃には最早痛いどころの騒ぎではなく、その場に伏し体を震わせ痛みが落ち着くのを耐え忍んでいた。
ふと兄を見ればまだ少し怒りを浮かべている様子に、これ以上の反抗は命取りだと悟る。
ここは不服ながらもきちんと謝るべきだと考えると自然に言葉は出てきて、兄はやっとと言わんばかりの大きな溜息を一つ漏らした。

「次はねぇからな？ほんと…男はいつ変貌するかわからねぇんだから、気をつけやがれぇ…」
「気、をつ…けます…」

私を見る目が、頬を撫でる手が、兄としてではないその雰囲気に思わず大きく脈を打つ。
本気で心配してくれていたんだということはわかるのに、少し違う違和感がまた私を自惚れさせる。
期待なんてしたところで無駄だと、この間兄から聞いた意中の女性の存在で思い知ったというのに。
何故こんなにも期待してしまうんだろう。