《１２４》 ページ28
《スクアーロside》
部屋に入って最初に思わず事後かとツッコミはした。
しかしそんなの冗談で、まさかそれが現実になるなんざ思ってもいなかった。
ここ最近のXANXUSのAに対する入れ込みようは気になってはいたが、突然一線を超えてくるなんて予想しねぇだろ。
目の前のAは頭が追いついていない様子ながらもどこか理解は出来ているのか、その行為に及んだ恥じらいから全身が赤くなっている。
かくいう当事者のXANXUSはそんな様子のAを眺め、楽しげにくつくつと笑っていた。
「…え、ボスとAってそーゆー関係？」
このクソガキはどうしてこうも空気が読めねぇのか。
その言葉にAはますます赤みを増し、XANXUSは満更でもない顔で俺を見やる。
「ち、ちが…っ」
「ンなわきゃねぇだろうがぁ！！！」
「いやなんでスクアーロが答えんだよ」
言われてみりゃ確かにそうだが、これを否定せずにいる方が無理だろう。
自分の大事な女が他の男に抱かれていると言うのに黙ってられる奴が居るなら今すぐにでも目の前に差し出して欲しいもんだ。
俺はAの頭を軽く撫でてやればゆっくりとXANXUSの元へ歩みを進め、その胸ぐらを掴み睨みを効かせて見やる。
こんなんでこの男が臆することなんてあるはずねぇが、怒りを抑えられるほど冷静にいられなかった。
「何の真似だ」
「そんなんテメェがよくわかってんだろうが。どういうつもりだぁ！」
俺にしては珍しく静かな睨み合いに、Aもベルも声をかけられないのかこの光景を眺めているだけの様子。
それならば都合がいいと思い己の拳を振り上げた所で、XANXUSが突然笑いを吹き出した。
「何を勘違いしてんだ？俺はAの抱き心地が良かったと言っただけだ」
抱き枕として充分だった。そして熟睡できたと。
満足そうな、しかしどこか馬鹿にしたような笑いを漏らすXANXUSに俺たちは何が何やら理解ができていない。
全くの部外者であるベルでさえ開いた口が塞がらないようで、唖然とこの場を眺めていた。
しばらくはその場で皆が硬直し、XANXUSが改めて口を開く頃にようやく事のなり行きを理解出来れば、何度目かの怒号をまた響かせる。
「XANXUSてんめぇ…ッ！！揶揄ってんじゃねぇぞぉおおお！！！！！」
「いちいちうるせぇ。揶揄われる方が悪ぃだろ」
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作者名：まいたけ | 作成日時：2023年8月3日 14時
