《１２１》 ページ25
《スクアーロside》
いま俺の目の前にあるこの状況を誰が説明できるだろうか。
面白いもんが見れるとベルに連れてこられたXANXUSの部屋で俺の視界に飛び込んできたのは、ベッドに仲睦まじく眠りについている男女。
どちらも俺のよく知る人物で、女の方に関しては俺が馬鹿みたいな好意を密かに寄せている奴。
「ボスもAも気持ちよさそーに寝てんの。笑えるっしょ？」
「…どこがだぁ」
笑える要素などあるはずがない。
好きな女が例え自分の主であったとしても、他の男の腕に抱かれて寝ている姿を見せられれば苛立ちが募るのは当然だろう。
ましてや半裸のXANXUSと、寝ているせいで少し服をはだけさせているA。
何も知らない人間なら事後ではないかと思いかねないこの状況に、俺は怒りを露わにした。
「…ッベルてめぇ…！離せぇ！」
「やめとけって！シスコンだからってやりすぎだっつーの！」
叩き起こしてやろうと進めた歩みをベルに腕を掴まれたことによって阻まれれば、怒りの矛先はベルへ向く。
振り払おうにも無駄に馬鹿力でしがみついてきやがるもんだからうざったくて仕方ねぇ。
そもそも普段のXANXUSなら部屋に入った時点で起きてきやがる癖して何でこういう時だけ起きねぇんだ。
なんて考えた時、気づいたこと。
「アイツ…絶対起きてんだろぉ…」
こんな時に限って起きてこないなどおかしいとしか思えない。
俺はしがみつくベルを引きずってベッドサイドへ向かえば、片目で俺の様子を伺うなり乾いた笑いを漏らすXANXUS。
「XANXUSてめっ…」
「るせぇ。Aが起きてもいいのか」
まるで人質のようにAをその腕できつく抱きながら俺に銃口を向けるもんだから、途端に何も言えなくなる。
疲れもあるだろうしAを休ませてやりたい気持ちはある。
しかしなんだって他の男の腕に抱かれて眠らせなきゃならねぇのか。
勝ち誇った顔で俺を見やるXANXUSと、この場を楽しんでいるベル。
とりあえずコイツらは3枚どころか10枚ぐらいに卸しても問題はねぇ気がしてきた。
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作者名：まいたけ | 作成日時：2023年8月3日 14時
