【REBORN!】だいすきお兄ちゃん【３】 (ページ14)

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《１１０》ページ14

「Aにベルぅ…テメェら卸される準備は出来てんだろうなぁ！！？」

何とタイミングの悪い登場の仕方なんだろう。
見事私の椅子は、運悪く部屋へと入って来た兄の顔面目掛けて飛んでいく。
まさかおやつの時間にまで争いが繰り広げられているとは思わなかったのか、無警戒の整った顔には椅子がめり込んだ。
しばしフリーズをしていたものの、状況を理解し現場にいる私とベルを睨みつけるなり剣を構えれば、次いで怒号が響き渡った。

「ベルが悪いんだよお兄ちゃん！！」
「いや投げたのAだし！」
「テメェら連帯責任に決まってんだろぉ！！！」

今度は兄を鬼にして逃げ惑う私とベル。
振り回される剣は床や壁を切りつけながら私たちに迫り、室内だけじゃ収まり聞かず、私とベルが同時に部屋を飛び出せば勿論兄もついてくる。

「なっ何でついてくんの！？あっちいってよベルってば！」
「やだね。Aこそあっち行けよ！」

二手に分かれればいいものを、お互いが同じ道を選んだ為に相変わらず私とベルは2人揃って兄に追いかけられている。
きっとベルも私と同じ事を考えたのだろう。
選ばなかった方向にはボスの部屋がある故に、できれば近づきたくないからだ。

ちょこまかと逃げる私たちに苛立ちを募らせているのか、兄の怒気は凄みを増すばかりで、離れている距離は少しずつ縮まってくる。
もうこうなれば兄を止める手は掛けでしかないものの、一つしかない。
ベルの顔を見ればやはり同じことを考えていたのか、含んだ笑みで私を見ていた。
Uターンしたところで逃げられるわけもない私達は遠回りではあるものの、曲がりに曲がり、目的地を目前に迫る。
調子に乗ったベルは最後のひと煽りと言って兄を挑発すれば、怒号は増して屋敷を響き渡らせた。

「お邪魔しますごめんなさい！」「ちょっとだけ入るぜっ」

目的の部屋に入れば物陰に身を隠し、2人並んで息を潜ませる。
部屋の主は突然の来訪だけでなく外の騒音に怒りを露わにし、その手には酒瓶が構えられる。

「A！！ベル！！出て来やがれぇ！！！！」

兄が部屋へ入って来た頃には、その酒瓶は主の元から離れていた。