《６》 ページ10
「XANXUS様。スペルビ・Aと申します。兄から貴方様のことは伺っております」
足元へと跪けば、肘掛けに置かれた手を取り甲へと口付けを落とす。
それを見たXANXUS様はフンと鼻を鳴らしていた。
下がれという目配せ。一礼し兄の元へ戻ると、静かに体を震わせ顔を見れば眉間に皺が寄り、綺麗な髪からはアルコールの匂いを漂わせていた。
どうやらグラスを投げられたことに怒っているようで、今にも吠えそうな兄をなだめながら私は持っていたハンカチで濡れた髪を拭く。
兄は小さく舌打ちをしながら仕方ないと呟いていた。
XANXUS様の部屋を後にし自室へ案内されたが、まだ最低限のものすらない。
他の部屋は訳ありというこのでしばらくは兄の部屋で厄介になることにした。
次には他の幹部へ紹介すると言って私たちはラウンジへ足を進める。
「あり、スクアーロじゃん。後ろのやつなに？」
「もしかしてそれが妹かい？」
扉が開くなりこちらへ集まる視線。
後ろに隠れている私に気づくや否や、次々と誰だと声をかけてきた。
兄は私の腰を引き前へ行けと促すとそれぞれの紹介をしてくれた。
金髪に輝くティアラのベルフェゴール。
ベルフェゴール同様目元は見えないおしゃぶりの赤ん坊マーモン。
これまた目元はサングラスで見えないルッスーリアと、ガタイがよくちょび髭を生やしているレヴィ・ア・タン。
最後に機械のようなロボットのような人なのか物なのかをモスカと言っていた。
よろしくと改めて伝えたら次々返ってくる応えに、ヴァリアーという集団の個性を豊満に感じた。
「あーー、疲れたぁ！」
無事に軽くではあるが挨拶も済ませ兄と共に部屋へ戻ってきた。
溶けるようにソファへもたれる私を見る兄は小さく笑いながらこちらへ近づいてくる。
そんな兄を見て一度驚き、かと思えば思わず目を伏せた。
「あ？なんだぁ？」
「ふ、っふくきて！？」
シャツを脱いでいるせいであらわになる肌。
鍛えているんだろう。細いのにがっしりとした体が何故か艶っぽい。
私の声にあぁ…なんて言えば、シャツを片手に隣へ腰掛ける。人の話を聞かない兄だ。
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作者名：まいたけ | 作成日時：2023年6月15日 18時
