【REBORN!】だいすきお兄ちゃん (ページ47)

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《４３》ページ47

【スクアーロside】

再び見せられる、その光景。
けれどそれは、先程見せられたもの以上に俺の胸に深く突き刺さり苦しめた。

Aの名を呼んだ時、確かにこちらを振り返えっていた筈だったが、駆け寄る先は俺の元ではなく、Aの周りを鬱陶しくうろついて嫌がったクソ野郎のところ。
そいつの元へ駆け寄ったかと思えば、その胸に飛び込んでいた。
Aの腕が自分に回されると困惑しながらも顔を赤らめるそいつは、図々しくもAを抱き締めている。

「チッ…跳ね馬の野郎がぁ」

あの日Aと顔を合わせてからの跳ね馬は、Aの話ばかり聞いてきやがった。
あんなクソ野郎に教えることなんざねぇと思っていたのに、いつの間にかAの監視役を担い、今は一番近い距離にいる男。
毎回俺の病室を訪れる度にAとの話を聞かされれば、何度ぶん殴ろうとした拳を抑えただろうか。
…だが、今回だけは見逃せねぇ。
Aを追いかけてきた理由など忘れ、今は跳ね馬に文句を言ってやることだけしか頭にない。

それなのに、Aは跳ね馬が事前に用意していたであろう車へ、導かれるように乗って行った。
跳ね馬にきつく肩を抱かれながら、抵抗するどころかその細い体を当然のように預けて。
まるで恋人同士のようにも見える2人の姿に、すれ違う奴らは小さく声を交わし、羨むような目でそれを見ている。
かくいう俺は、Aと共に羨望の眼差しを向けられる跳ね馬に嫉妬さえ覚えた。

何故Aの隣にいるのがあんな奴なのか、何故Aの肩を抱き慰めているのが俺ではないのか。
いつだって人目を気にせず俺の胸に飛び込んできたAが、俺以外の胸で泣いているのが、それを見ていることしかできない自分が苦しいほどに憎い。

「…はっ、なんてザマだぁ……」

一度目にAが病室を飛び出した時、そうならなければいいと願ったことが現実になった。
追いかけたくとも、やれることは一つとない。
車の窓ガラス越しにも跳ね馬へもたれかかるAを見れば、腹の底から醜い感情がふつふつと湧いてくる。
その姿が見えなくなっても、俺はその場から動くことはできなかった。