【REBORN!】だいすきお兄ちゃん (ページ42)

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《３８》ページ42

【スクアーロside】

一体何を見せられているのか。
先程Aに触れようとしたら、大声で跳ね馬を呼びつけ俺の動きを遮った。
それだけでも苛立つというのに、Aは入ってきた跳ね馬の腕を掴み俺から姿を隠しやがる。
目の前でAと跳ね馬が腕を組みよくわからないじゃれ合いを繰り広げているが、その2人の頬は赤く染まっているのが気に食わねぇ。
跳ね馬はどうせ抱きつかれて喜んでんだか浮かれてんだかしてるんだろうが、Aが頬を赤らめる理由は考えても浮かばなかった。

Aの先ほどまでの跳ね馬に対する態度からすると、好意を寄せている感じではなかったはずだ。
だが本当は密かに気になっていて照れ隠しにそういった行動をとってしまっている可能性も捨てきれない。
跳ね馬はあの日、初めてAと顔を合わせた時から好意的な態度を取っていやがったし、
そうなるとこいつらは両想いということになるが…、正直認めたくないのが本音だ。
跳ね馬が嫌だとかそういうのではなく、単純にAが他の男のものになるというのが、どうしても許せない。いや、跳ね馬は断固拒否だが。
それがベルだったら、ボスさんだったら…と考えても考えが変わることはなかった。
考えれば考えるほどに積もる苛立ちと目の前で繰り広げられるじゃれ合いのせいで沸点に達したのか、小さく舌打ちが漏れる。

「…うぜぇ。とっとと出ていけぇ、そして二度と来るんじゃねぇ」

自分でも出てきた言葉に驚いた。
うるさいと一言文句を言ってやるつもりだったのが、なぜか勝手に変換されていた。
だが後悔しても、謝ろうとしても、もう手遅れだ。
Aは眉を寄せ小さくごめんと呟けば部屋を飛び出す。
俺の見間違いなのか気のせいなのか、うっすらと目元に浮かんでいたのは涙だろうか。
跳ね馬は俺とAの後ろ姿を交互に見れば、俺が無言でいたせいかAの後を追いかけて行く。
点滴に繋がれ、未だ車椅子でなければ動くのも一苦労な俺には、すぐにAを追いかけることなどできない。

アイツはこの後跳ね馬に慰められるのだろうか。
抱きしめられ、頭を撫でられ、跳ね馬にしか見せない顔で笑うのだろうか。

—————なぜ、それが俺じゃないのか。

気付いたところで何もできやしねぇ。
それでも認めざるを得なかった。

「…ハッ…まさかこの俺が、Aのことを好きになっちまうとはなぁ……」

妹に恋をするなんざ、なんて滑稽なんだ。