【REBORN!】だいすきお兄ちゃん (ページ21)

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《１７》ページ21

【スクアーロside】

突然のことだった。
ドアを開けたらAが転がってきて、腰をさすって痛がっているようだから手を貸した。
立ち上がらせようと腕を引いたらAは俺にもたれかかってきて、気づけばAの唇が俺の、俺の…、

「…ッ、くそっ！やめだやめだぁ！！」
俺の唇に触れていた、なんて思い出したら途端に顔が熱くなった。
考えないように意識を持って行こうにも、脳裏にチラつくAの顔が浮かんでくる。

突然腕を組んできたかと思えば甘えられ、事故とはいえキスをし、その後抱きついてきて”嫌じゃなかった”と言われれば、不覚にも妹ということを忘れて心臓が跳ねていた。
正直なぜ心臓が跳ねたのかなはよくわからないけれど、Aのことを一瞬でも”女”として見てしまった自分に自己嫌悪。

「はぁぁ…こんなん兄貴失格だろぉ…」

「何が失格なわけ？」

1人だと思い呟いた言葉に反応があり、咄嗟に後ろを振り返れば歯を出し独特の笑いをこぼすベルがいた。
いつから見られていたのか。それよりも気配に気づけない程Aのことを考えていたのかと思えば己の情けなさと恥ずかしさが込み上げてくる。

「…え、王子そんな趣味ねーんだけど」
「はぁ？」
突然何を言い出したかと思いえば、どうやら俺はベルの顔を見るなりにやけていたらしい。
アホかと一つゲンコツをくれてやれば、ベルはナイフを投げて消え去った。
子供のお遊びにもならないナイフは壁へと突き刺さり、やれやれとため息をつきながらそれを片付ける。
ひと息つくたび浮かぶAの顔に、1人廊下でにやけと自己嫌悪を繰り返していた。

…そういやぁA、部屋を出る前に何か声をかけてきていたなぁ。
突然起きた出来事に恥ずかしさと後ろめたさから逃げるように部屋を出てきたせいで、Aの声を無視してしまった。
傷つけてしまってないだろうかと心配になり、慌てて来た道を戻った。

部屋の扉を勢いよくあければAがきょとんとこちらを見ている。
Aに近づき、不本意にも無視をしてしまったことを詫びれば気にしないでと笑っていた。

その顔がたまらなく愛しくて、途端に抱きしめたくなったことを堪えたのは、俺の胸の内に留めておこうと決めた。