《９》 ページ13
目が覚めると見知らぬ天井。
ここはどこだったか…、と、昨日の出来事を振り返るとベッドに顔を伏して眠る兄の姿が眼に入り、一連の出来事を思い出した。
おそらく私がベッドで寝てしまったために兄の寝る場所がなくなってしまったのだろう。
昨日からしてもらってばかりなことに申し訳なさを感じながら髪を掬えば指から溢れ、
きちんと手入れされている髪からはXANXUS様への敬意すら感じられる。
微かに動く兄の体に起こしてしまったかと顔を覗き込むと、少し気怠そうに口を開いた。
「…起きてたのかぁ」
おはようと伝えると当然のように返ってくる返事に笑みを溢せば、兄はきょとんとこちらを見ている。
なんでもないと言いつつも私は久しぶりに兄と迎えた朝に懐かしさを感じながら、これからの日々に胸を高鳴らせていた。
起きたと言っても時刻はまだ陽が登り始めたばかり。
少し屋敷の中を散策したいと伝えると許可が降りたため、シャワーを浴びたりと身支度を整えた。
昨日は夜だったため気づかなかったけれど、明るい空の下で改めて見ると屋敷の大きさに驚かされる。
大きいのは屋敷だけでなく、周りはたくさんの木々に囲まれ庭園はどこまで続いているのだろうか。
おそらく外で乱闘が始まっても屋敷へのダメージは余程のことが無い限りは少ないんだろうな。そんな事を思いながら兄と庭園を歩いていた。
「そういえばお兄ちゃんが言ってた、野暮用ってなんだったの？」
「あ？あぁ…それなぁ…」
兄が日本に野暮用で来たと言っていた事を思い出し聞いてみると、最近9代目よりハーフボンゴレリングを渡され、もう一方が日本にいる10代目候補の�爛汽錺瀬張淵茱鍬瓩亮蠅謀呂襪箸い�情報が入り兄はそれの奪還をするために行っていたらしい。
意外にもあっさりと奪還できた為、余った時間で予定より早く私のところへ来たと。
「だが、Aの住んでるところがクソガキ共と同じ並盛町だと知った時には流石に驚いたぜぇ…」
どうやらそのサワダツナヨシも同じ町内に住んでいるらしく、乱闘したのも町内だったとか。
そういえば商店街の方がざわついていたな…なんて記憶を思い返しながら任務を終えた兄にお疲れ様と告げた。
「じゃあ無事にXANXUS様の手にハーフボンゴレリングは届いたんだね！」
私の言葉にやべっ！と漏らす兄に何事かと思えば、リングをボスにまだ渡していなかったと焦り走り出していた。
私をその場に残し走り去る兄に、私は頑張れのガッツポーズで見送った。
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作者名：まいたけ | 作成日時：2023年6月15日 18時
