【REBORN!】だいすきお兄ちゃん (ページ11)

今日:5 hit、昨日:42 hit、合計:11,753 hit

《７》ページ11

「だ、だから服…着てって言ってるでしょ…！」

私の知っている兄はまだまだ幼い頃の兄だ。
当時から私の知る限りでは兄の顔立ちは整っていたし、周りの知人も兄を好機の目で見ていたのは幼いながらに感じていた。
だがしかし、10年という月日がどうしてこれほどまでに兄を成長させ、更には誘惑的な美しさを備えさせてしまったのだろう。
所々にある治り切っていないかすり傷すらも、色っぽく思えてくる。
そんな体を直視できるわけもなく顔を背けていれば、兄は悪戯に笑っていた。
そこで思い出す空港での出来事。なるほど、これは先ほどの仕返しというのか。

「ぶはっ！そんな顔するもんじゃねえぞぉ」

視界を覆うように当てていた手の隙間からじっと兄を睨んだら、満面の笑みで笑う兄。
やはり意地悪したことへの仕返しだったようだ。
その悪戯顔が一層色気に拍車をかけることに気づいていないのだろうか。
バカ、と一つ漏らしながら軽く拳を下ろすと、兄は私の頭へ手を置き奥へと消えていった。
どうやらシャワーを浴びるらしい。
静寂に響くシャワーの音はどこか心地いいもので、私は音を聞きながら今日一日の出来事を振り返り口元を緩めていた。

10年ぶりの再会。あの頃と変わらぬ優しさと温かさは一日を通じてよく伝わってきた。
会えずにいた10年の月日はどれほど兄を強くさせたのだろうか。
わたしは兄に置いてかれぬよう鍛錬をして来たつもりだけれど、実力の差はどれほどだろうか。
そんなことに思いを馳せていたらふと思い出したこと、
そう言えば兄は左手を義手にしたと言っていた。シャワーを浴びるのに不便ではないのだろうか。
考えがすぐ行動へと移り、わたしはシャワーを浴びる兄の元へ向かった。

「お兄ちゃん、シャワー浴びるの手伝おうか？」
「…はぁ？」

浴室のドアを軽く叩けば中からは兄の声。
どうしたという声に私は不便しているのではと告げれば、呆れるような何を言っているんだとも言えそうな声が返ってきた。

聞こえなかったのかと思い再び手伝いを申し入れたら、浴室からは何か大きな音が聞こえる。
何か落としたのだろうか、それとも転んでしまったのか。

心配の声を投げかけようとしたのも束の間、兄の怒号が部屋に響き渡った。