23話 ページ24
〜薬研藤四郎side〜
泣き疲れて眠った女士を布団に戻し宗三と眺める。
目は真っ赤に晴れているが顔は幾分か晴れているようだった。
薬「この話は大将に…」
宗「した方が良いと思いますよ。私が行ってきます。薬研は彼女の側にいてあげてください。」
薬「すまねぇ、助かる。」
そう言って出ていった宗三と入れ替わりで入ってきたのは
薬「燭台切の旦那…?」
燭「……。」
何も言わずに彼女をじっと見つめる旦那。
薬「どうかしたのか…?」
燭「……彼女の名前を聞いたかい?」
名前…?
薬「あぁ、さっき確か"雪一文字"って言っていたぞ?」
そういうと旦那は嬉しいようなけれど悲しいような顔をしてその雪一文字に駆け寄った。
燭「雪ちゃん…。ほんとに雪ちゃんなんだね…。」
眠る彼女の頭を撫でる燭台切の旦那の顔は親のようで、
薬「なにか旦那と関係のある刀なのか?」
燭「あぁ、彼女の主は一時期政宗くんのところにいたんだよ。」
燭「良かった…折れないでいてくれて…ほんとに良かった。」
ほら、ここにもお前を大事に思ってくれる人がいる。
雪一文字という刀は彼女自身が思っている以上にみんなに愛されている。
良かったと安堵しながら頭を撫で続ける燭台切の旦那を見て、彼女が早く心から笑える日が来ることを願った。
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作者名:綺衣 | 作成日時:2017年6月27日 21時