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21話 ページ22

〜雪一文字side〜


それから仲間はどんどん減っていった。


ボクが来た頃の賑やかさは嘘のように消えていた。


ボクが部屋を出れるのは主様が優しい日にたまに連れ出して散歩してくれる時だけ。


その時の主様は優しくてボクに色んなお話を聞かせながら廊下を歩いて縁側まで連れていってくれる。


ボクは歩けないから主様が抱っこして連れていってくれた。


けど、それは決まってみんなの寝静まった夜中。


ボクがみんなに会えることは無かった。


でもきっと…ボクが主様を殺せなかった理由はこれかもしれない。


優しいときの主様に期待してしまっていたのかもしれない。


どの刀剣よりも近くにいたのにボクは主様を手にかけなかった。


足が動かないとかそんなの関係ない。


動かなくても殺れるぐらい近くにいた。


だけど殺すなんてできなかった。


ボクは大切な仲間を守れなかった。


先に見切りをつけたのはみんなの方だった。


当たり前だろう。


みんなはこんな主様知らないんだから。


みんなはもっと酷い目にあってるんだから。


みんなと言ってもこの本丸にどのくらいの刀剣が残っているのかわからない。


でも、人間を殺すのなんてボク達はいとも簡単に出来るのだから関係ない。


たった1人がその刃をつき立てればいいのだ。


それに…それにこの人は…


ボクの大切な仲間を折った人なんだ…!


だからボクはたまに襖の向こう側に人がいるのも、


あの日そろそろと近づいてくる殺気も


全部気づかない振りをした。

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作者名:綺衣 | 作成日時:2017年6月27日 21時

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