【ハイキュー】酔 わ せ て 【短編集】

ソウルキス - 黒尾鉄朗 ページ4

「……もうやだ、最悪」

「本日9回目の " 最悪 " 」


カウンターに突っ伏して泣きぬれる。

決して面白い話じゃないはずなのに、そんな話にさえ付き合ってくれる黒尾はやっぱり優しいと思う。


「それで？その彼氏は今どうしてるんだよ」

「…わかんない。連絡しても繋がらないの」

「んじゃ他の女のとこにいる可能性が高いわけね」

「なんで傷えぐってくるの！？」

「いや、えぐってるんじゃなくて事実を言ってるだけなんですけど」



(…………まあ、たしかにその可能性が高いんだけどね…)


彼氏に浮気されてるかもしれない私のやけ酒。

最初は一人で飲もうと思ってたけど、高校からの仲である黒尾の優しさを思い出すと、つい甘えてしまいたくなった。

『飲みたい気分なの。一緒にどう？』

そうメッセージを送ると、

『いいよ。どこ？』

と二つ返事で承諾してくれて、これだからいつも甘えたくなってしまうのに。


「…黒尾、いつもごめんね」

「ハァ？突然なんだよ」

「だって、黒尾も彼女いるでしょ？なのにいっつも連れまわしちゃってるし……それ以外にも色々優しくしてくれるから」

「あー、そういうこと…」


呆れたように苦笑を浮かべながら、黒尾は私のおでこを指で弾いた。


「痛っ」

「そんなん今さらですー。あと俺はお前と違ってリア充してませーん」

「…え……」


(……リア充？してないって？)

予想外の言葉に、一瞬キョトンとしてしまう。



「……彼女いないの？」

「……なんですか、嫌味ですか」

「そんなつもりじゃないけど……」

(………え、意外…)



これだけ優しくて面倒見もよくてだったら、絶対彼女いてもおかしくないと思うんだけどなぁ…


＿＿＿＿そう思いながらも、心のどこかで安心している自分がいて、





「……黒尾が彼氏だったらよかったのに」





あぁ、何言ってるんだろう。


言い終わった時には手遅れで、もう黒尾の顔を見れそうにもなかった。


……幻滅したかな？

彼氏にフラれそうで傷心中だから、他の男キープしておこうとする軽い女って


(……そう思われても、仕方な＿＿＿)





「俺もそう思うぜ」


「……え、」




……黒尾？




「Aの彼氏は絶対俺のが向いてるって、自分でも思う」

「……」


いろんな感情が入り混ざって


黒尾を見上げるしかなくて





「……試してみる？」



「……でも、」

「大丈夫、



酒のせいにしていいよ」







ソウルキス
カクテル言葉【どうにでもなれ】

カンパリオレンジ - 澤村大地→←デニッシュ・メアリー - 松川一静

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